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「あ、ここだ」
個室のある居酒屋…
お高そうやけど、まぁ個人差はあるけど各々それなりに稼いではいる。
たまにはちょいとぐらい贅沢してもええよな。
「ん？」
その店の前で、何やら揉めている…というか男が一方的に女性に言い寄って……え？
「そんな冷たい事言わずにさ〜。ご飯でもデザートでもお酒でもたっくさん奢ってあげるから〜」
「離せ。夜の接客業の同伴じゃないから止めろ」
「つれねぇなぁ、こんなに良い身体してんのに、それを見せつけてんのが悪いんだろ？」
「テメェに見せる為に仕上がった身体じゃねぇ。それに良く見ろ。露出度低めだろ」
「あ、あの人…！」
「ヤバイな、助けに行った方が良いよな…」
坂口と松井が割り込もうとするのを……俺は手で制する。
俺の行動に、2人は勿論、京極さんと�眸耄匹閥�野も目を見開く。
「古城!?」
「何をして……」
「ったく、いい加減女は男の言う事を聞……ぎぃっ!?」
「―――だからさ、マジでお前に用はねぇっつってんだろ。分かったらとっとと消えな。それに…それ結婚指輪じゃん。家族を大事にしない人間が一番嫌いなんだよね。
それが分からないなら母乳でも吸って童心に返りな。最も、子供の頃からママに甘える所かママを使用人の様に扱ってたのなら、人生やり直した方が良いレベルじゃない？
なんせ、女は男に従え、とか簡単に言えるくらいだもん」
「……この可愛げのない女！これだから気の強い女って奴は！いっぺん泣かされちまえー!!」
そう吐き捨てる男やけど、周りからの視線に耐え切れずに逃げたんやろな。
なんせ、か弱いと思い込んでいた美女が自分より強過ぎたんやから。
とはいえ、その美女も…かなり口達者や。
同時に口悪い。いつも以上に悪過ぎる。
え？何でいつも以上なんが分かるって？
それは……
「やり過ぎや。あの輩が逆上してホンマに酷い目に合うたら、それこそ最悪の事態やろ」
俺がその美女にフランクに話しかける。
京極さん達が次々に「え？」と呟く。
「わーん、怖かったよー、楓くーん」
「棒読みすな。スマホ弄るな…何Twitterに「絡まれたけど撃退なう」て投稿しようとしてん」
「あ、いけない。思わず今の勇姿を投稿する所だった」
「何が勇姿や。終始口悪過ぎて耳痛くなったわ」
「でも心配してくれてありがとね。確かに助け呼ぶべきだったかも」
「……ま、ホンマにアカンくなったら助けたけどな…無事で良かったよ、満優姉」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
