Arco Iris Ⅴ (ページ35)

今日:17 hit、昨日:3 hit、合計:14,443 hit

・ページ35

全員が嘘偽りのない真っ直ぐな瞳…

綺麗な時もあれば、逆に恐ろしいものに変貌する。

「あー…えー…っと…」

京極さんは目を白黒させ

「んー…この店の閉店時間は…」

くるま兄は現実逃避を決めて

「そう言えば、俺の事も汗臭いって言ったよな…」

ケムリさんは二次被害的なものを喰らって

「おぉ…天野さんの頼もしい味方…」

坂口は思いっ切り引き攣った笑みを浮かべ

「……なぁ、そろそろ終わりにせん？こないな奴、後で萩原兄さんに回収してもらうさかい……あ、萩原兄さんお疲れ様です。回収して欲しい奴が……そうです、秋一兄さんの元バイト先のカフェです」

古城さんは、何かとんでもない発言をした後にスマホでどこかに電話を掛ける。

萩原兄さんって……？
というか、秋一兄さんの元バイト先のカフェ…？

なんや、色々情報量が多いけど…今は別にええか。

「荒川、皆も大丈夫？」

「古城…うん、ウチらは全然」

「それならええ。で、この戦意喪失野郎…どないする？」

「せやな。とりあえずベンチに座らせ…や、ベンチやなくて地面に。あの…その…」
「色々と汚い。色々と臭い」

荒川さんとよしおかさんの表情…
基本無表情のよしおかさんでさえも、嫌悪が伝わるのは何故や。

「もう…蜜柑ちゃん！首絞めたら蜜柑ちゃんが不利になるやろ！」
「囲っただけで触れてなんかいませんよ。証拠は残りませんよ」
「そういう問題やない！その脅しはアカン！」

早乙女さんを叱るオダウエダさん…

「息はしてるし……後はもうウチらの手には負えん。ホンマにこの場から去りたい」

はるさんの言う通り、もう本当にこれ以上ここにいたくない。
ここにいたくないのにコイツを何とかする為に頑張った俺達本当に偉い。
特に天野さんは本当に頑張った。良く言い返した。

しかし、色々と臭い…想像したないな。

「ほな、後はあの人に任せましょ。あの人の車、後部座席はビニールシートで覆われてるし」

恐らく防水用のビニールカバーなんやろうけど、その言い回しやと犯罪の香りが凄まじいんですが古城さん。

「お……終わった？」
「そうみたいだね…」

ずっと隣同士やった俺と天野さんは、目を見つめ合いながら……って……

「っ！」
「あ……」

我に返った俺達は、急いで少し離れる。

忘れてた。

俺は、天野さんに告白を急かしてもうて、困らせて…結局、フラれて…ちゃうな。
天野さんに「誰かを振る」という行為をさせてしまったんや。