そこに嘘偽りは ページ26
少しだけ頭をスッキリさせた後、また皆がいる場所に戻る。
食事自体は終わりを迎え、今は皆でドリンクやお酒、ついでに何故か店長の方がおつまみをサービスして下さり、楽しい時間はあっという間に過ぎるのである。
勿論皆は、私と櫛野君に何があったのかは知らない。
私と櫛野君も、皆に悟られない様に精一杯の笑みを作る。
やがて談笑と共にそれは本物に近付く事が出来たので、本当に皆に悟られずに済んだのである。
「―――有難うございます、皆さん」
終わりの時間を迎える前に、私は皆にお礼を言う。
「メンバー入りして1ヵ月とそこらで、まだライブもロクに出ていないのに体調を崩してしまって……こうして集まって下さるだけでなく、こうして暖かい言葉を沢山下さって、本当に感謝しかありません」
「そんな畏まらなくても良いんだよ？」
「そうそう！Aちゃんその1ヵ月でさ、すっごい色々と奮闘してたじゃん！」
「ファンの事も大事にしてるし、こんな良い子と一緒に仕事出来るんだー、って嬉しかったもん」
「…まだまだ休養の身ですが、1日でも早く復帰出来る様にするので、その時はまた仲良くして下さると幸いです」
「うーん…いつ頃になるのかなぁ。もっと早めに出演出来れば良いのに」
「あ！いっそビデオレターとかどう？後さ、動画撮影も！」
ビデオレター…確かにその発想はありませんでした。
「確かに、映像とか音声とか、いくら休養の身でも動かんと勿体ないわな」
「そうだねぇ。デスゲームによくある黒幕のメッセージ映像とか、天野さんの罵声集とか、天野さんが考えた大喜利のお題を皆で答えるとか」
「―――ガッツリ動いてるし、しかもデスゲームとか罵声とか……え、本気でやらせる気なんですか？」
「早乙女ちゃん、Aが復帰明けにキャラ変する羽目になると思うから」
オレンジ日和さんの…特に蜜柑さんのトンデモ提案に、�眸耄匹気鵑筏�極さんが冷静にツッコむ…何というか、ボケ同士で集まると必ずツッコミが必要になる現象、その打開策は簡単な様でそれなりに至難の業な気がします。
古城さんはツッコミ担当ですが、彼は彼で気まぐれで突然ツッコミを放棄する事があるので……自分ではなく他者がとんでもない何かをさせられそうになっても…それが例え古城さんの友人的存在だとしても、古城さんは無視をするかもしれません…
櫛野君の方をチラッと見る。
…うん、少しだけ笑ってる。
それは本当に良かった。
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
