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「それにしても…」
突然の貸し切り予約にも関わらずや。
そいで決して少なくはない人数。
その人数相応に料理の数や量を用意せんとならん。
荒川自身は勿論急かしてなんかいない。むしろそん店に貸し切りがOKかどうか…
OKなら、それが可能な日程を聞いただけや。
で、まさかの数日後て。準備せなアカン事多過ぎなんに。
荒川は荒川で即皆に呼び掛けるのに必死やったな。
けど殆どがAの名前を出したら「行く！」と即答やったし…そんな訳で大凡の人数も店の人に伝えられたし。
にも関わらず、店員の方々一切嫌そうな顔はせず、むしろ率先として俺らにおもてなしをして下さる。
慌ただしい中、幸運が積み重なって生まれた奇跡の食事会やな。
おまけに…
「荒川さん、皆さんも！ドリンク完成しましたよ！どうです!?」
「わ〜〜〜！かっわいーーー！」
なんか、荒川の友達みたいな従業員おるし！
その子は満面の笑みで全員分のドリンク作ってたし…有能過ぎる！
「この後天野さんにサプライズのスイーツ用意しましたんで」
「有能！」
凄い店見つけたな、荒川の奴。
まぁ、お陰様で…ここに来るまでトラブルはあったけど、こうしてAの笑顔が見れたし…
「天野さん、そのネックレスとても可愛いね」
「有難うございます、よしおかさん。アイビーをモチーフにした…って先輩芸人の方から」
「アイビーの？」
「確か花言葉は…なんか、死んでも貴方を離さない的な怖い感じです」
「お前を殺して俺も死ぬ、みたいな？」
「そう！そんな感じです！」
いやいや違う違う！
いくら個人的に気に食わない桜野さんでも、流石に庇うわ！
そんな怖い花言葉を持つ植物関連のモン、あの桜野さんが後輩に送る訳がないから！
というかそのネックレスは「魔除けの意味がある植物をモチーフに」作ってたからな!?
よしおかも何!?何をどうしたら「死んでも貴方を離さない」から「お前を殺して俺も死ぬ」って発想になる!?
それに対してAは何で満面の笑顔で頷く!?
って言いたいけど……！今すぐツッコミたいけど！ボケ担当やけどツッコミたいけど！
あんなに楽しそうに談笑してるのに、それをそんな理由で水を差すのは先輩としてよろしくない…もどかしい…
まぁ、何やろ。
ホンマもんの笑顔はまだ俺には向けられてないし、今浮かべとる笑みもやっぱりどこかぎこちないというか…申し訳なさが伝わるけど、それでも友達に囲まれとるAを見て、心底安心したな。
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
