Arco Iris Ⅴ (ページ2)

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「櫛野君、こんな騒がしいチワワの相手ありがとうね」

「チワワって…」

そのマカロンクッションを森下さんにぶん投げた張本人がこちらにやって来る…
野宮さんや…というか、相方にぶん投げたんか。

フルムーンの力関係、野宮さんが上か、やっぱ。

「っていうか月斗うるさい。そーゆーのさ、脳内で考えなよ。顔どころか少し脳みそが一回り小さいからって、それを言葉として形にする程じゃないでしょ」

「……脳の大きさなんか大体同じだろ!!少し差があるぐらいで!!」

「それより」

「それより!?」

「櫛野君と月斗に是非こちらを見ていただきたいのですが」

そう言うて野宮さんはとある場所に俺達の視線を促す。

と、そこにおったんは……

「――――!?!?」

天野さんやった。
否、そうやない。

天野さんのファッションは、今まではカジュアル系が多かったし、何なら下はズボンが主やった。

それはそれでオシャレやしイマドキって感じで、可愛えとは思ってたけど…

「どう!?どう!?櫛野君、それにつきちゃん！身長低めの方やけど、敢えてロングスカートで攻めてみたんや」

「お、良いね。ハイネックブラウスその組み合わせも……」

「色合いもええと思わん!?っていうか超可愛えやろ!?Aちゃんも、自分でそう思うやろ!?」

「あ、荒川さん…私こういうの初めてで…いつもはズボンだし」

「まぁ、スカートは舞台衣装ぐらいやもんな。学校の制服みたいな……あ、そうや！」

「？」

「あのな……目の前に櫛野君おるやん？」

「はい」

「櫛野君に―――」

「ふむ―――」

「………」

天野さん、いつもより大人っぽい。
元々とっても可愛い子やけど、綺麗の方のレベルがいつも以上に…

後、もしかしてちょっとメイクし直したんか？
せやから、ちょっと時間かかったんかな。

新しい天野さんが見れた。
こんな一面もあるんや、と思うと…なんか、なんか……！

「櫛野君！」

「…ん!?」

「どうかな……？」

「―――!!」

「(何この男子。見た目はそんな純情そうは見えないのに)」
「(月斗よりもピュアだよ全体的に)」

「か、か、か…」
「ん？」

「荒川ちゃん。Aちゃんに何を伝授したの？櫛野君、すっごい顔真っ赤だけど」
「…櫛野君が喜びそうな何かを？」

「…か…かなり大人っぽい女性って感じや！」

「本当!?私、小学生に良く間違われるからさ…それ、最高の誉め言葉だよ！」

「っ！」

笑顔、可愛過ぎる……！