ちょいとあざとく ページ1
天野さんの味方なんは当然やけど、やっぱちょっと同期として叱りたい部分もある。
今日は例外やし、凄く怖くて堪らん事が起きたやし…そもそも、これ以上誰かがどうこう言う筋合いはない。
けど……！
告白の返事…これは俺がせっかちなだけかも知らんけど聞いてへんし…
相変わらず、自分の事よりも人の事ばかりで…
その上、こんなにも面白くて可愛くて、特に笑顔とか最高なんに…自分が好きになれんって……！
ウジウジ考えんでも、天野さんは俺にとっては凄く良い人やからな！
「櫛野君。天野さんの事考えてる割には、なーんかイライラしているご様子だけど……もしかして天野さんって子……かなり面倒な子？」
「そうや！面倒な事考えんでも、俺は天野さんが……」
「なるほどなー……それでも、そんな腹立つ程アホな部分もまとめて、天野Aが好きなんだろ？」
「当たり前や！……うわっ!?」
俺、初対面の男の娘先輩に何言うてるんや……!?
というか、聞かれてへんよな!?……あぁ、良かった！天野さん今試着中や！
と、何故か森下さんが「はぁ〜…」と深い溜息を吐く。
俺に呆れてるんか？と思うたけど、良う見たら少し涙目や。
は？何で涙目？
「…神保町のマンゲキでも、青春ってあるんだな〜…」
「え？ま、まぁそうですね…でもそんなんどこの劇場…どころか事務所？というか、至る場所に起きてるでしょ。そないなアオハルイベント…」
「―――僕だって去年甘酸っぱい恋を経験したのに……よりにもよって何であの子は、あんな顔面強烈過ぎる先輩芸人に！何であんなモンスターみたいな人を好きになったんだよー！僕の方が色々と需要あると思うのに！」
いや何の話ーーー!?
俺に何を言わせて、アンタは何を爆弾発言してはるんですかい!?
というか…甘酸っぱいって!?
顔面強烈過ぎる先輩芸人!?誰!?
で…何、何で自分で自分の事を「需要がある」て断言したん!?逆に引くわ！
どれだけこん人、自分を愛して止まないん!?
「うぅっ…名前の通り甘酸っぱいけど…でも極端に甘かったり酸っぱかったり、そんな君も魅力的な―――ぶっ!?」
俺が脳内で、森下さんが全身で暴走していると
森下さんの顔面に、デカイ可愛いマカロンクッションが飛んできた。
ん？名前の通り、甘酸っぱい…？
でも極端に甘かったり酸っぱかったり…？
何か、ま、待てよ…？どこかで……！
普通なら誰やねんてツッコミたくなるけど、何や、何か思い出しそうや……！
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年11月4日 2時
