Arco Iris Ⅳ (ページ49)

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〈side Kushino〉

「超ヤバ過ぎる～～～！超可愛い～～～！」

「コレもどう？」

「満優姉ナイスチョイス！」

フルムーンプロデュースのアパレルショップに来店…という形でええのか、避難場所と例えた方がええのかは定かではないけど、とにかく今、俺達は天野さんの為に服を選んでいる。

「明日の食事会でさ、今まで舐めて来た男共や女子達を見返してやろうよ」

「満優姉！明日の食事会は、危ない奴等全員誘ってませんから！」

「分からないよ荒川ちゃん。誘われてなくても「飛び入り参加」って言葉が存在する限りは。何が何でも馬鹿にするどーしようもない人間は沢山いるから」

「む～～～……こうなったら、とびっきり可愛いファッションとメイクで、敵味方関係なく黙らせる！」

「まぁ黙らせたらマジでただ食べてるだけの会になるからね」

……訂正。
俺とフルムーン森下さんは傍観の立ち位置や。

荒川さんと野宮さんは……

「……あの、私にばかり時間を費やすのは勿体ないかと」

「勿体ないなんて、そんな殺生な事言わんといて！」
「コレは私達の使命に当てはまります」

絶賛・女子だけの天野さんファッションショーである。
というか天野さん、着せ替え人形みたいにさせられとるぞ。

しかし……こんな、ふわふわなものからカジュアル系まで、男らしさやゴツい物なんか何処にもなく、あったとしてもゴスパンク系やゴスロリ…男っぽいというよりビジュアル系にありそうな服でありふれたこの店で……

「ベースは僕が選んだのに……というか店員は僕もなのに……！いつの間にか2人が率先してるとかどういう事……!?まぁ、僕のベースを尊重してくれるだけ有難いけどさぁ……！」

「た、大変ですねー」

「あ、櫛野君。良かったら櫛野君も試着どう？可愛い系のメンズファッションで良いの入荷したんだよね」

「あ、えっと…金欠なので次の機会に」

完全に声が男の、確か今年30歳を迎えるで話題になったこの男の娘先輩の隣で…

普通の20代後半で、体格もそれなりにある男…俺は、場違いにも程があるこの店に何でおるんやろ。

というか、俺に可愛い系のメンズって似合うんか？
森下さんは…もしかしたら似合うと確信したから、俺に勧めてくれてるのかもしらんけど…

「金欠かー。残念無念」

「あっ、でも服は好きですし、森下さんプロデュースには凄く興味があるので！」

「本当!?」

「はいっ！」

社交辞令である。興味ない訳ではないけど。