Arco Iris Ⅳ (ページ48)

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気を取り直してページ48

頭を抱えて涙目になる男の娘の森下さん…または満優さんの相方さん。

イマドキのお姉さん系な感じのファッションだけど、野太い声やちょっと大股な部分を見ると「あ、やっぱ男性なんだな」と感じてしまう。

「僕だってなぁ、その気になればモノマネだって出来るんだからなー！それに声優だってそれなりにオファー貰ってるし！」

「あのー…」

「はい!?」

「えっと、つまり…貴方は正真正銘の男性で、満優さんの相方でいらっしゃる方で…副業とは…」

確かに芸人1本じゃやっていけない方々も大勢いますけど…フルムーンさんはかなり売れてらっしゃるのでは…？

「ふふん…僕は超絶可愛く生まれたけれど、相方の満優ちゃんが最強だからね…確かに僕は「じゃない方芸人」のくくりではあるよ。だけど…決して「コンビ格差」とか「コンビの片方は売れてない」とかそんなんじゃないから！」

「いや聞いてませんけど」

「とにかく！今から行く店は、フルムーンがプロデュースしたアパレルショップだから！僕みたいな男の娘も、中性的でもジェンダーレスでも、なんならボーイッシュでもゆるふわでも……」

必死な感じが怖過ぎるけど、とりあえず「いかにも男って感じの服以外、色々ある」というのだけは分かった。

店に向かう途中、森下さんは誰かに電話を掛ける。
小声だから良く聞こえないけど…スマホをどうのこうのと言ってる辺り、先程仰ってた「機械に詳しい人」なのでしょう。

そのフルムーンさんがプロデュースしている店に辿り着くと…荒川さんは涙目で私に抱き着く。

無事で良かった、と。
怖い思いさせてゴメンね、と。

しかしその直後…

「荒川ちゃんとはるちゃん…それに蜜柑ちゃんと楓君からも良く聞いてるけど、君が狛犬の…櫛野君だっけ」

「は…はい…」

「Aちゃんを助けてくれて有難う。私が本当に大事にしている子だから、君がAちゃんの味方で本当に良かった」

「！あ、有難うございます…！」

「(…この辺りから櫛野君気付かんのかな)」

「(櫛野って奴、もしかして鈍感？今の満優ちゃんの今の言葉…その裏側に潜む答え)」

「(…Aちゃんが満優姉に良く話す芸人は、ウチらエルフやオレンジ日和なんは周知の事実やけど…狛犬はコンビどころか櫛野君の名前を出した事、一度もないんやで？)」

「(しかも満優ちゃんから遠回しにライバル宣言されてるし)」

何故皆さん…こんなにもバチバチしてるのでしょうか。