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「コレさ…良ければ知り合いにそういう機械に詳しい人知ってるから、借りて良い？」
「え…良いんですか？」
「天野さん、こないな初対面の…乱暴な男に」
「僕が乱暴かどうかは櫛野君が決める事じゃないだろ。女の子1人を護ろうとするのは良いけど、僕が一撃喰らわせなかったら、確実に大怪我か…最悪な展開になってたよ」
……
「私のせいで、櫛野君がアイツに…」
「天野さんは悪く無い！今回は、ホンマに超絶運が良かったんや。俺もアレを煽り過ぎたし…警察とか真っ先に呼べば良かった」
「…ううん。天野財閥は…何度も揉み消してるから…」
「そうやとしても、最善の策やなかったのは確かや。もう少し、冷静にならんとアカンかった。でも…」
ぎゅっ、と櫛野君が私を抱き締める。
「ホンマに、良かった。天野さん…天野さんに会えたんは、俺ん中ではホンマに幸運や」
「櫛野君…本当に、私は貴方に助けられてばかりで…」
「(付き合ってるのかな)それより、天野さん」
「え？」
「(コイツもコイツで邪魔やな…タイミングが)」
「僕の相方であり、君の同居人の1人である満優ちゃんから連絡があったけど…明日の食事会に着る服を捜してるんだってね。
ま、そんな時に、あんな外道にストーキングされたのは可哀想だけど、その最悪な記憶が「そんな時もあったね〜」程度で笑い飛ばせられる程、この僕が君をとびっきりイマドキ女子にスタイリングさせるから」
……へ。
「…もう一度よろしいですか？」
「え？最悪な記憶が…」
「違います！最初の方です！今…何て言いました!?」
「んん？…あぁ…そうかぁ。今の僕、副業バージョンだもんねぇ」
そう言うと、彼女…じゃなくて彼は貴族の様にお辞儀をする。
「僕は、野宮満優の相方…フルムーンのツッコミ担当であり、芸能界で一番可愛い男の娘の「森下月斗」と申します♪男の娘だけど、超絶可愛い女顔ってだけで、中身は歴とした男だから。
可愛い物や服とかコスメグッズとか大好きだけど、歴とした男子…どうしたの？」
「…科捜研の女にコンビで出てましたよね。異性一卵性双生児の双子の弟で、無残に殺されたあの」
「あ〜、あの伝説の…」
「…染色体が何とやらとか、クラインフェルター症候群とか、まぁ序盤で犯人に殺された役の僕には全然分からないけどね！チクショー！コンビで初のドラマ出演だったのに僕は無残な遺体役って、トップ・カラーは満優ちゃんを贔屓し過ぎだろー！」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
