助けてくれたのはウザ可愛い人でした。 ページ44
櫛野君が顔を真っ赤にさせながら、兄の側近に正論を言い放つ。
確かに…！そもそもこの人の仕事…本当に兄の側近ならば、兄に…天野家に関わる仕事をしなければならない。
そして、さっきの建物も天野財閥が経営している…つまり…
「勤務中に何してるんですか…」
「天野さんも思うよな!?コイツアホや！そもそも天野さん見つけたら、普通にその「しょうさま」って人に報告するだけでええやんな？なんで持ち場離れてんねん！」
「……それに私…今の件で、外出る時は今まで以上に警戒しなきゃいけないって学んじゃいました」
「あーあーあー！お前ドジやな！優先順位は普通に本来の仕事やろ！逆にご主人様お怒り案件や！GPS取り入れる事しか頭にないんか!?」
「う……う……うるっせぇんだよ！お前とそこの吠えまくる犬が逃げるのが悪いんだろうが！大人しく篠様のお役に立ちやがれって言ってんだよ！」
お前、とは…当然ながら私の事を指しているのは分かる。
しかし……
「……犬」
「……間違ってへんよな？俺と坂口のコンビ名「狛犬」やし」
「本来なら獅子に似た日本の獣だしなぁ…あんなのに吠えまくるのは良くないかもしれません」
「ん〜…それもそうか。そんなんやから、狛犬が持つ力の魔除けとか、邪気を祓う力とか備わんのかぁ…」
「でも私「狛犬」ってコンビ名好きだよ？お笑いをやる上では、とても縁起が良いかもしれませんね！」
「無視してんじゃねぇよおい！何2人でぺちゃくちゃ喋ってんだ！つーかおいそこの野郎！今の話の流れだと、俺の存在が魔とか邪気とかって言いてぇのか!?」
「あ!?うっさいねん！即興でしゃべくり漫才して何が悪いん!?まぁ俺と天野さんはコンビちゃうけど！
でも俺と天野さんはな、今こん時も芸人としてメッチャ大事な時期や！そないな事も分からんのか!?見た感じ俺らと同世代やろ!?
後、ホンマに邪気や！というか邪気とか魔とか、そういうん総合して、お前最初から物凄く「邪魔」や！」
「こ、コイツ…さっきから俺をチンピラだの無職だの邪魔だの……っ…！」
…兄の側近は、実は物凄く短気だ。
学生時代は兄に対してとても従順な犬…
しかし兄の機嫌を損ねたり、兄の為に何かをしようとする兄の側近に何かしらの妨害が入ると、その要因となる人(と決め付けた上で)に対して怒鳴るわ物を壊すわ放課後まで執拗に大声で説教するわで…問題児扱いされていた。
頭は良いはずなのに、何故こんなに狂暴なのでしょうか…
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
