24期生組の怒り※※※ ページ5
「―――だから、ちょっと話すぐらいなら良いでしょう!?」
突然、男の声が響き渡る。
他の芸人達も、何だ何だとそっちに顔を向ける。
それは…良く聞き覚えのある声で…って…
「古市に…箕輪？」
というか、金魚番長や。
何をそんなに揉めてんねやろ…と思ったのは一瞬で…
その光景を見て、俺は目を見開く。
「俺達は、乃川ちゃんと少し話したいだけです！」
「同期なんですから、良いでしょう!?」
「―――ダメだ。雪希や俺達は大事な時期なんだ。邪魔しないで貰えるかな？」
…！
「風花オポジット……」
「金魚番長…アイツら、乃川さんと話そうとしてるんか」
「そこを南雲に止められてる…という訳か」
ちょっと前に、天野さんと入れ替わる様にして新しくメンバーになった風花オポジット。
…天野さんを陥れ、嫌がらせを仕向ける様に姑息な手を使う…天野さん虐めの首謀者の南雲。
そして天野さんの元相方で、天野さん虐めに対して何も喋らん手を出さん…前以上に大人しくなってもうた乃川雪希。
マンゲキでは、既に南雲を慕う芸人や…乃川さんを崇拝する芸人がそれなりに出来てもうた。
南雲……！
これまでに天野さんから何もかも奪いやがって……！
けど…落ち着け、冷静にならんと。
天野さんは必ず復帰する。
そんで…俺は天野さんと一緒に戦うって決めたんや。
ここで怒りで我を失ったら、それこそ不利や。
南雲は一応先輩やから気を付けなアカンし…
「…先輩にこんな事言うのはアレですけど、俺達と乃川さんは、合同ライブをやった仲なんですよ？もう戦友も同然です」
「というか乃川さんの交友関係、いくら何でも管理し過ぎでしょう。これじゃあ乃川さん、いつまで経っても自分の意思を伝えられませんよ」
「―――ちょっと良い成績を残したからって、調子に乗ってんじゃねぇぞ」
「っ！」
「ぐ…」
声色が変わった。
とても低くて、恐ろしくて…逆らう事は一切許さない、そんな声。
「あのな、お前らの合同ライブってさ、あのクソ女もいるんだろ？あのクソ女を思い出させる様な最低最悪な記憶しかねぇライブを、俺の可愛い相方の雪希に思い出させる気か？」
「っ……アンタ、乃川さんの前で、良く天野さんの悪口を言えますよね！」
「雪希にはな、あの女の存在を忘れて欲しいんだよ。あのクソ女は、雪希を苦しめる癌にしかならない。それを除去するのが俺の役割だ」
癌…？
天野さんを、癌、やて？
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
