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スターダストさんは、お笑い界どころか芸能界でも高い地位にいる…私みたいな若手芸人からしてみれば、手が届かないコンビだ。
フルムーンさんも…森下月斗さんとはまだ関わった事はないけれど、目の前にいる野宮さんは色んな分野で活躍して、幅広い世代のファンによる支持を得ている。
しかし…彼らが陰で血の滲む様な努力や大声で叫んで、泣きたくて、苦しい日々を……私の想像よりも何百倍苦労して来たのは、間違いないだろう。
彼らが努力を積み重ねていた長い長い間、当時の私はただただ1日1日が早く終われば良いとか、いなくなってもどうだって良いとか、逃げる事しか考えられなかった学生だったというのに。
「今はとても笑顔な桜野さんが…」
「…この辺はあんま詳しい事は言えないけど…いつかAちゃんに打ち明ける日が来るかもしれない」
「そんな…だとしても、それを私が受け止められるか、気持ちを分かってあげられるかなんて…」
「秋一兄さん、Aちゃんの事「努力と忍耐力が特に誰よりも秀でている」って言ってたよ？」
「私は…うーん…申し訳ないですけど、何だかまだ自分の事を良く分からなくて…私自身は比較的皆さんと比べたら平凡で…もっと頑張らないとなって日々考えさせられますし。勿論、桜野さんが私をそう仰って下さるのは、本当に喜ばしい事です。とても励みになります」
少し前に会ってから、ちょいちょい様子を見に来て下さりますけど…
あんなに優しい笑顔の裏で、苦しくて辛い思いをし続け、それをどうにか乗り越えて来た…のでしょうか。まだ分からない事だらけです…
「ねぇ、Aちゃんさ…結構周りから「自分を過小評価してる」って言われない？」
「過小評価…え？」
突然野宮さんにそう聞かれ、ちょっと狼狽えてしまう。
過小評価…
「……言われま…せんね」
「そっか…私は、Aちゃんが自分で思うよりも最強に凄い芸人であり女性だと感じてるんだけどなー…」
「いやいやいや、それ野宮さんですから！」
「私はただ好きな事を最大限にやりまくってるだけだよ。苦手な分野はとことん無視してるだけで」
それ、言葉にすれば簡単でも実際は難しいと思います…なんて、野宮さんを前に言える訳ありません！
「うーん…考えても分かりません…」
「まぁ、そういうのって自問自答しても分かんないと思うんだよね。だって、1人で抱え込むってさ、余計な先入観とか思い込みとか…挙句暗い方に陥る危険性がある訳だし」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
