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お笑い芸人も、アイドルも、アーティストも、皆…舞台でとても輝いている。
皆を笑顔にさせている。楽しい気持ちにさせてくれる。
「…だから、私はお笑い芸人ですけど…自分を思いっ切り表現して、笑いを武器にして、皆を笑顔にしてやるんだって………そこが、自分の居場所になれるんだって……だけど……」
「……Aちゃん？」
「………」
結局、思い浮かぶのは…お客さんの笑顔よりも、微妙な反応にさせてしまった表情。
私を嘲笑っては否定する芸人仲間。
…理由が分からず、私がどんな目に合ってもこっちを一切見ず…興味さえ失せた顔の…雪希…
怖い。
階段から突き落とされて、私は自分が実は「誰かに殺されてもおかしくない」という状況を突き付けられて…
でも、やっぱりそれでも雪希は絶対に何とも思わないのが目に映って…
もしも…今良くして下さる皆さんが、いつか離れると思うと……！
「Aちゃん」
「？はい…」
「そのキラキラした衣装も、人によっては一生懸命作ったネタや小道具も、最大の武器だよね」
「え？そ、それは勿論…」
「そんで、そんな自分自身を好きだと言ってくれる人達の声と笑顔が加わると、限界突破するよね。もっと強くなれるよね」
ゲーム…否…あくまでも芸人の話。
もっと言えば…私自身の話だ。
「だけどね、更に自分自身が人にも自分にも優しくなれたら、最強に魅力的な人間だと思うんだ。
そんでそんなAちゃんを好きな人達は、Aちゃんの大切な味方であり、それはそれは大事にしなきゃいけない仲間だよね」
「……野宮さん」
「勿論、性格の不一致や…生理的に嫌な奴とか、あからさまにヤベェ奴とか、好きになれない輩は大勢いるよ」
野宮さんが「嫌な奴」「ヤベェ奴」と口にした時、その時の表情が凄い嫌そうな顔をしていた辺り、本当に心の底から嫌悪する相手がいるのだな、と察しました。
「でもさ、お笑い芸人たるもの…相手の全てにおいての最強の武器を傷付け汚して害するのは、如何なる理由があれどそれは許してはならない。タブーを犯してるも同然だよ。
それで自責の念に駆られるのは、相手の思う壺であり…自分自身を傷付けるだけだよ」
「………」
「Aちゃん、休養ってさ…身体の怪我を治すだけじゃ、全く意味がないんだよ」
「はい…」
「秋一兄さんも昔色々あって…かなり無理が祟って、ね…」
え……？
「桜野さんも…？」
「…危なかったよ。当時は本当に」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
