Arco Iris Ⅳ (ページ23)

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しょうもないページ23

「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇよ！」

南雲の怒鳴り声が響き渡る。

「お前みてぇな顔だけが取り柄の中身スッカラカンなしょーもねぇオッサン、生まれた時からどーせ愛されて育った甘ちゃんな野郎には分かんねぇだろうなぁ!?

人を陥れるだぁ？天野は事実雪希を苦しめたんだからよぉ、多少の罰を与えても許されるんだよ！

元を辿れば天野みてぇな生意気で言う事聞かねぇ、自分の意見が正しい、正義感ぶって雪希を意味なく叱る自分に酔いしれてる、どうしようもねぇ性悪な偽善者が元凶だろうが！

そんな性格が捻じ曲がった偽善者でさえも、お前は肩を持つって言うのかぁ!?

何が天使の様な先輩芸人だ!?お前の本質、お前の正体、お前と言う存在を俺が証明してやる！

お前はな、天野と同じ悪魔なんだよ！人間の屑以下なんだよ！お前なんか―――」

ここまで言うて、取り巻き共が南雲を抑える。

「もう良いじゃないですか！」
「こんなくだらない人間相手にムキになっても、僕達もですけど雪希ちゃんだって喜びませんよ！」
「南雲さんが一番苦しんで生きて来たの、私達は良く知ってますからね！」

「……しょーもな」

俺は呆れた声で暴言を吐き捨てる。
勿論皆に聞こえる様にや。

「新鮮でも、熟してでも…何なら腐ってでも、こん人がお笑い界におる以上は、俺らの大先輩に変わりない。芸歴は何よりも重視せなアカン。
けど、そん大先輩の桜野秋一さんを勝手な思い込みで敬語ナシどころか聞き捨てならん暴言…

乃川さんのご主人様がどないな人生経験を歩んだかは知らんけど、それが天野さんを寄ってたかって凄惨な目に合わしてええ理由にも、大先輩である桜野秋一さんに最悪極まりない暴言吐いてええ理由にもならんの分かってはるんかいな。

話の論点がズレにズレまくって、感情論ばかりで混沌しとるけど……天野さんのこれまでの件も、今起きた桜野秋一さんへの侮辱とも言える暴言の件も、共通して言えるんは…

お笑い芸人として、人として、もう少し周り見て冷静に考えた方がええんと違う？取り返しつかん事態になる前に」

そう言う俺かて、冷静になれてるかどうか危うい。
南雲がどない人生を歩んでようと、許されん域はこれでもか言うレベルで超えとる。

第一、南雲…お前かて、秋一兄さんの何が分かるんや。

秋一兄さんが、幼少期からどれだけ凄惨で…苦しくて痛い思いをして過ごしたか、どれだけ長い間、愛情とは無縁の灰色の世界で生き続けて来たか。