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南雲の度を越えた挑発とイキリに、奴の取り巻きは兄さんに意気揚々と野次を飛ばしとる…とは思っとった。
そういう奴等はそれなりにおるみたいやけど、こうして見ると中には南雲に「もう止めましょうよ」と宥める奴等もおる。
「天野さんも、天野さんなりにここに対する想いはある。それでもし天野さんが何かしら償いたいと思うなら、それを妨害する権利は誰にだってない」
「結局あのクソ女の味方じゃねぇかよ！あぁっ!?」
ぐいっ、と南雲が秋一兄さんの胸倉を掴む。
「きゃっ…！」
「おい、誰か…！」
「あの天野のクソ女はなぁっ！先輩の言う事も聞かねぇ、生意気ばかりで、雪希を傷付け苦しめた悪魔なんだよぉ！しかも本人にはなぁ！その自覚がねーんだよ！
雪希と天野が揉めた時だってな、雪希は涙を流してたんだ！その涙はな、本当に傷付けられて苦しんで、助けを求めてる涙なんだよ！
それが分からねぇ奴等は皆クソなんだよ！雪希を苦しめるなら、お前も潰してやるからな！お前も消してやるからな！芸人界からも、社会的にも、何ならいっそこの世からもなぁ！」
なんて、わやくちゃな思考の持ち主や…
ここまで乃川さんに対する想い、天野さんへの憎悪がごっついなんて…
「南雲さん！この世とか…それ以上は言い過ぎです！」
「雪希ちゃんの為とは言えど、度が過ぎるわよ！」
取り巻き共も、南雲から離れる気配は感じられんけど、ドン引きしてはるし…
「何だよお前ら！お前らだって、天野が憎いんだろ!?」
「憎いさ！アイツ生意気だし！」
「嫉妬から雪希を理不尽に怒る、醜い悪女だしね」
「大して可愛くないからな。子供みたいでキモいし」
コイツら…ホンマの意味でも天野さん自身をちゃんと見てへんのか？それとも価値観の違い？
俺からしてみれば…天野さんは、乃川さんとはテイストが違えど、吉本のべっぴんランキングが即行われたら、1位は間違いない程の美少女や思う。
「チッ…」
南雲は、乱暴に秋一兄さんを突き飛ばす。
兄さんは…痛そうな素振りは全く見せへんけど、酷く顔色が悪い…
「あ…兄さん！」
「桜野さん！」
「…平気。耳が…痛いだけで……おい、南雲智彦」
部屋から出ようとする南雲を、何故か秋一兄さんが引き留める。
「あぁ？」
「俺がお前をそこまで馬鹿にしない理由は、そんなお前でも周りに……」
「何だよ」
「…人を陥れたり、馬鹿するのだけはやめなよ。それ、自分自身の首を絞めるだけだからさ」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
