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兄さんは、自分が言われる分には何とも思わん人や。
自分だけなら、何言われてもノーダメージな人。
けど…自分以外の誰かが馬鹿にされたり傷付けられるんは、秋一兄さんにとっては何よりも耐え難いんや。
「はっ、意味分かんねぇ。結局自分は愛されてますアピールか？自分はとってもとっても愛されてる甘やかされてる恵まれてる人間です〜ってか？」
「そうだな」
「そうだなって……あぁ？」
「……お前が発端で、今もとっても痛い思いをしている天野さんだって、色んな人から愛されてるんだよ。
だから、お前の言動1つ1つが、天野さんだけでなく大勢の人間の心を傷付けてるのが分からないのか？
散々天野さんをイビり続け、馬鹿にして、苦しめて…そしてそれを嬉しそうに自慢気に語るお前を、色んな芸人から良く聞いてる」
「！へぇ……貴方の口から天野の名前が出るとは……
やっぱり、天野と貴方はとても良く似ているから、シンパシーというものを感じているんですか？
だからあの悪魔を…雪希を盛大に傷付け苦しめた天野Aの肩を持つんですか？」
「…似てる？シンパシー？俺と天野さんが…？色んな意味で正反対だと思うけど」
「―――“マンゲキ”を盛大に荒らした者同士、お似合いって意味ですよ〜！」
「お、まえっ……！」
それ以上は我慢ならんかった。
コイツ……今すぐこの手で……！
「楓」
しかし…秋一兄さんが俺の名前を力強く呼ぶ。
何も言うな、そういう事なんか…？
「…ここにいる芸人の中には、大阪のマンゲキに所属していた人達もいる。その人達にとっては、やっぱ俺に対して思う所はあるだろうし、避けられないだろうな…当然、俺がそこでやらかした罪は一生消えない」
罪…やて？
あの事件があった時期…俺はNSC入りたてで、接点は皆無やった。
やから詳しい話はそん数年後に聞く事になったけど…それ聞いた後でも、兄さんに非は全くない。
兄さんは理不尽に…
全部、アイツらの自業自得なんに…！
「だけど、色々解決した後にまた大阪のマンゲキで漫才をやり続けた…やらせて貰えた。それが俺なりの贖罪だ。あそこで悲しませた分、皆を笑顔にし続ける」
「夢物語ですねぇ〜」
「皆が、俺を本当に慕ってくれるからだよ…結構アホやドジやらかして怒られる時もあるけど、大事に想ってくれてるんだなって感じられるし」
「アンタがしょうもない上に腹立つ存在だからでしょ。勘違いすんなよバーカ」
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
