度を超えた失礼発言に ページ18
「ほ〜んと、アンタって人は、悪癖しかない人と仲良…」
「―――久しぶりだね。風花オポジットの南雲君」
「……あぁん？」
秋一兄さんは大根役者や。
演技は苦手中の苦手分野で…俳優顔負けの容姿故に、盛大にがっかりされるんは日常茶飯事。
けどその分感情表現は豊かな方。
基本嘘偽りを演じる漫才やコントは、兄さん自身がホンマにお笑いが好きやから感情移入出来るし、鮮やかに彩るんや。
キングオブコントやTHE MANZAIで高評価を得るんも当然の実力者。
つまり何が言いたいかと言うと…
兄さん、ガチギレしてはる。
兄さんが今浮かべとる笑み…
この妖艶な笑みの中にある恐ろしゅう感情…
綺麗で、美しくて、怖い顔。
それに気付いてはるんは、俺しかおらんと思う。
現に女性芸人は、秋一兄さんの美しい笑みに顔を赤らめとる。
男芸人も一部魅了されとるけど、それ以外の奴等の矛先は…南雲への軽蔑の目。
外道の南雲は…天野さんと、今正に加わったであろう秋一兄さんの2人をただただ潰すだけしか考えとらん。
理性もなければ計画性の無い…やる事しか考えてへん獣の目。
全ては乃川さん言う人形の世話、乃川さん言う甘い花の蜜を吸う事が目的の…イカれた思考持っとるな、ホンマに。
そして南雲の取り巻き共は、当然ながら南雲を喜ばせる事しか脳に無い、哀れな下僕。
「へぇ〜？俺の事覚えててくれたんですね！光栄ですよ」
「光栄？君が俺なんかを？」
「だって、貴方を慕う後輩は数多いですけど、貴方からしてみれば後輩は米粒や埃の様なもの……1人記憶や存在から消えても全く気付かないですよね？
てっきり雑に扱って飽きたら捨てる、自分の手元に置く分のストックは十分にあるからいつでも補充出来る、その程度かと思ってましたもん」
「まさか。俺を本気で慕ってくれる子達もだし、俺自身が少しでも気になる子達の顔は、絶対に忘れないよ」
秋一兄さんと南雲のやり取りを黙って見守る俺達。
「ふぅん、自慢ですか？何の自己アピールを？」
「どうしてそう思うのかな」
「…所詮赤の他人。所詮ライバル。所詮蹴落とす存在。どんなに可愛くても、ちょっと自分よりも優秀な成績を収めれば…その瞬間憎くて堪らない邪魔者になる」
「つまり…どういう意味？」
「貴方とっても頭良いんでしょう？今俺、貴方の心に寄り添って質問したというのに？」
コイツ……！
秋一兄さんを煽って、感情的になった人間を更に畳みかけるつもりか!?
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
