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「つーか南雲さんさぁ！そんだけ女の子にブスブス言うなら、アンタはどうなのよ！」
「正直、大して自慢出来る程の男前でもないわよ！」
「スターダストの桜野さんとか見習いなさいよ！あの人、外見が美しいだけじゃなくて、謙虚で気遣いも出来て頭も切れる最高のイケメンなんだから！」
「あ、あんな芸歴だけの凡人……」
南雲の失礼発言に、更に事態はヒートアップする。
アカンな、こんままやとホンマに南雲死んでまうかもしらん。
にしても桜野さん…桜野秋一兄さん…
こういう時、秋一兄さんがおったらどんなにええか。
あん人は、本性や本音を見抜くんが誰よりも長けている。
ほいで…どうしたら事態を収束出来るんかも、瞬時に行動に移せる。
「秋一兄さん…」
「え、どうかした？」
……は？
「えっ」
「楓、俺がどうかしたの？というか、何…この騒動。何かのコントのリハーサル…とか？」
彼……スターダストの桜野秋一兄さんが、何故神保町のマンゲキにおるんやろか？
しかも気配を隠す訳でも小声になる訳でもなく、いつもの雰囲気でやって来はった。
何か紙袋を沢山所持してはるし。
当然ながら、こん修羅場はピタリと止まる。
ほいで数秒後…
「き……きゃああああ！」
「桜野さんんん!?どうしてここに!?」
「嘘!?何なのこのサプライズ！」
「桜野さあああんっ！カッコいい〜！」
「待って！大先輩相手にそんな馴れ馴れしく…うわぁぁっ！生で見るとヤバ過ぎる〜！」
女性芸人の大半…一部男芸人は、秋一兄さんに群がる。
俺は危険を察知して、急いで兄さんから離れる。
「え、か…楓!?俺は君に忘れ物―――」
「ノーマスクで普通に侵入した兄さんが悪い」
「ええ!?」
坂口と古市は…そんな光景に圧倒される。
当然やろな…大先輩であり売れっ子であり華やかなオーラを纏う秋一兄さん、周りがスルーする訳ないし。
一方の南雲と不愉快な仲間達はというと…
「南雲さんしっかり！」
「何なんだ一体…何で桜野さんが…」
「ま、まさか天野さんを虐めたからとか!?」
「少しからかっただけなのに!?」
「そんなバカな、教育委員会とか本部からの監査とかじゃないんだからさ」
つまり…中には虐めとる自覚ない輩もおるけど、何人かは天野さんへの行いをちゃんと“虐め”と認知してる訳か。どっちにしろ悪質や。
で、一方の南雲は…ボロ切れや。
まぁそないみっともない姿で漫才やっても、別に俺はどうでもええけど。
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
