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乃川さんはそう吐き捨てる様に言うと、そのままどこかへと去って行く。
…残されたのは、色々と頭の整理が付いてへん俺と
複雑そうな表情で乃川さんがおった場所を見る箕輪。
「……ダメ、か」
「乃川さんに断言されたら、こっちとしてもどないしたらええか分からんな…」
「乃川ちゃん……昔は、あんなに楽しくやれてたのにな…」
「………」
その昔を、俺は知らへん。
東京24期生の中で、金魚番長とMilky Wayが卒業ライブの優勝と準優勝を勝ち取り
そして2組で合同ライブを行った。
同期の24期生…どころか大阪の41期生の何人かが、2組の合同ライブを観に脚を運ぶ程、とても興味のあるライブで……本当に面白かった。
―――金魚と天の川っていう、どう見ても縁日とか祭日に相応しいコンビ名だよねぇ。
―――もっと人気とか知名度とか上げて、色々頑張ったらさ、2組で夏にツアーもやりたくない!?
―――それ面白そう！お祭りライブ！いっそお台場のデカイイベントも乗っ取りたい！
―――もうさ、夢は大きくした方が良いよね。そういう大きな未来考えるの超楽しい。
明日とか1年後とかその先の未来とか
そういうのを楽しく考える姿を見ると、こっちも前向きな気持ちになれたのを思い出す。
だから……あんな部外者とも言える南雲含む連中が、彼女達を妨害しなければ、きっと今頃2組は仲良え関係を築いていったのかもしらん。
そんな確かではない「もしもの未来」なんに、俺は嫉妬さえ覚えてしまう。
俺の知らない天野さんを、箕輪と古市は知ってるから。
それ程までに、実は意外と手の届かない存在やったと思うと、虚しくて仕方ない。
だけど、そないな嫉妬を感じた所で、今の天野さんや乃川さんの状況が正しいかと言われたら……そんな訳ない。
「……天野ちゃんと乃川ちゃんが望むなら」
「？」
「俺は彼女達を…Milky Wayを再結成させたい。そう思ってたし…正直今も思ってる」
「箕輪…！」
「でも…乃川ちゃんが何を考えてんのか分からなくなって…天野ちゃんもとうとうダウンして…」
「……」
「…俺、過去に縛られてんのかなって、思う時があるんだよな」
箕輪、それは違う。
「……諦めんなって」
「？」
「天野さんと乃川さん2人を助けたいって思ってるからこそやん。そん悩み。それを過去に縛られてるとか…暗くなったらアカンやろ」
「…そう、だな。うん、悪い。サンキュー」
乃川さん…一体、何を考えてるんや…？
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作者名：氷柱 | 作成日時：2023年9月12日 0時
