似顔絵【国見英】(甘) ページ28
カリカリッ__
シャッシャッ____
静かな教室にシャーペンを走らせる音だけが響く。その教室内にいるのはたった2人___2人は向かい合って座っている。
左手にスケッチブック、右手には鉛筆を持って
『っ……』
なんでこんなことに…
事の始まりは私が昨日の美術の授業を休んでしまったことである。
美術はその似顔絵で成績をつけるので、同じく美術の授業を欠席した生徒と放課後に残ってお互いの似顔絵を仕上げてこいと先生に言われたのだ。
ここまでが前提
そーっと目線を上に上げると、向こうも私を見ていたらしくダークブラウンの瞳とバチリと目が合った。
『……っ!』
思わず目線を下に逸らす。
そう、似顔絵を描く相手は私が密かに想いを寄せていた同じクラスの国見英君だったのだ
それからも目が合ってすぐに逸らしてを繰り返し、何回目かのそれをした後、国見君が口を開いた。
「…ねぇ、もうちょっとこっち見てくれない」
『えっ』
「描けないから」
あっ、そ、そうだよね。似顔絵なんだから顔見ないと描けないよね。慌てて顔を上げると、真っ直ぐこちらを見ていた彼と目が合った
思わず逸らしたくなるも何とか耐えて見つめ返す。
一分一秒がとても長く感じる。私、顔赤くなってないかな。変な顔してないかな。
って、あれ…?
『く、国見君、似顔絵描かないの?』
「もう描き終わったけど」
『あ、そうなん……えぇっ!?』
え、描けないからって嘘だったの?あれ、じゃあ私、顔上げる必要なかったんじゃ
そう思って国見君を見ると、彼はクスクスと口に手を当てて笑っていた。その笑顔に思わずどきりとする
「Aの顔なら見なくても描けるよ」
『……え』
「ずっと見てたから」
花のように笑う君も
目をまん丸にして驚く君も
抱きしめたくなるように泣く君も
「Aも、そうみたいだね?」
そう言うと彼は口角を上げて私を見る。
私のスケッチブックの国見君は、もうとっくに完成していて優しい笑顔でこちらを見ていた
「せっかく2人きりっていうおいしいシチュエーションなんだから、もうちょっと楽しまなきゃ損だよね」
そう言うと彼は立ち上がって、私の隣に腰を下ろして言った
「Aが見たことのないような顔、見せてあげようか?」
その代わりAも俺に見せてよ。俺が知らない君の表情を
“似顔絵”
(好きな人の顔は見なくても描ける。当然でしょ)
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紅月。 - 恋愛げぇむやばいですね!心臓持たない! (2021年8月13日 23時) (レス) id: 9bccb615c4 (このIDを非表示/違反報告)
ふじもん(プロフ) - 主人公大好きかよ!愚問だったね!大好きだったね!もちろん私も若利君大好きd(ブベラ殴 (2018年8月15日 22時) (レス) id: 9aa2f2467a (このIDを非表示/違反報告)
ふじもん(プロフ) - そんな!若利君!健気すぎるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!! (2018年8月15日 22時) (レス) id: 9aa2f2467a (このIDを非表示/違反報告)
亜美(プロフ) - みんみんさん» コメント気づかなくてごめんなさい!アイディアが浮かび次第、他のキャラで書くつもりです! (2018年3月30日 21時) (レス) id: e1e6319445 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん - 恋愛げぇむめっちゃキュンキュンして見てました!シリーズ化してほしいです!! (2018年2月28日 15時) (レス) id: ff67e09fe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜美 | 作成日時:2014年9月9日 20時