糖分補給所（ハイキュー短編集 ）

恋愛げぇむ【赤葦京治】（甘） ページ20

『あ、そろそろスタミナたまったかな？』


そう呟いてアプリを開く

これは何人かの男性に囲まれて誰に恋してゴールインするか、といういわゆる乙女ゲームだ

私はもともとこういうのに興味がなかったのだが、友達紹介でわたしもあなたも課金アイテムがもらえるからやって！という友達のお願いを断りきれず、アプリを入れたのだ

すぐアンインストールするつもりだったけど、オープニング登場で出てきたあるキャラを見てその手を止めた




(このキャラ……赤葦君と似てる)




そのキャラの髪型といい言葉遣いといい、その全てが私の片思いの相手と似ていたのだ

迷った末、このキャラと恋を始めたら見事ハマってしまったのだ





“……眠いんですか？飴あげるんで起きてください。はい、あーん”



現実で赤葦君にやってもらってることを想像して、思わず顔がにやける。そんな時ふと横から声がかかった




「何か楽しいことでもあったんですか？」


『っ！？』



突然の声に思わず携帯を床に落としてしまった。慌てて拾おうとした携帯に私じゃない別の人の手がかかった

赤葦君……だ



「すみません。驚かせてしまいましたか」



そう言って液晶画面が割れていないか確認しようとして彼は固まった

いま、まさに画面の向こうの男子は私に甘い台詞を言っているところだったからだ。しかもそれが自分にとても似ているなんて気分のいいものではないだろう




『っ、あの……それは友達に勧められたからで！』



必死に言い訳する私をよそに、赤葦君は自分の口を自分の手で覆って無言を貫いている

居た堪れない空気

あぁ、こんなことならこんなゲームやらなきゃよかったと心から思った




「……やめてくださいよ」


『……っ』



やっぱりばれた。私が赤葦君のことが好きでこのキャラを赤葦君に見立ててるって

それでも拒絶の言葉はとてもショックで、泣かないように下を向く。だけど次の赤葦君の行動は私の想像と全然違かった



ふわり


少し空気が揺れ動いて、気づくと赤葦君に抱きしめられていた





「……俺に似たキャラ使うなんて、脈ありかと期待してしまうじゃないですか」


『……えっ』




突然のことに頭が追いつかず、パニックになっている私に彼は続けた





「覚悟しといてください。絶対落としますから」



ゲームの中の俺に似た男になんて負けませんよ









“恋愛げぇむ”


(性格：敬語・優等生風男子)


(しかしSな一面もある模様)

恋愛げぇむ【月島蛍】（甘）→←恋愛げぇむ【黒尾鉄朗】（甘）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す