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「………え?……は、…うそやろ?」








何回目かのデート。

とうとう入ってしまったホテル。


激しく身体を重ねて、行為が終わって服を着て、
康二から唐突に「付き合ってほしいねんけど」と言われ
抱きしめられて、私はついに本当のことを告げて。








「……うそでこんなこと言わないよ」

「え、まってまって、…無理やって。え、…?……
整理できるわけないねんけど」

「……そうだよね。だけど、ごめん」










「本当のことだから 」。


そう言って、ああもう終わりだ、もう会えないと覚悟して、さよならを告げて部屋を出ようとすると


腕は引かれ、強く強く、強く抱きしめられた。











「………これで終わりとか、無理や。…考えられへん」











康二は泣いていた。



私を後ろから抱きしめて、肩に顔を埋めて、
ぐすぐすと鼻をすすって長い間泣き続けた。








そして何とか絞り出した言葉は

「旦那とうまくいってないってこと?…俺にも、
…まだチャンスってあんの?」という

もう苦し紛れの希望。




康二はそれでも構わないと、禁断を優に超えた。







愚かな私も、そんな康二を受け入れてしまった。









「……絶対俺の方が幸せにできるし」

「……うん」

「……寂しい思いもさせへんし」

「……康二、抱いて」










「そんなん、Aが望むならいくらでも」。




自分たちは何も悪くない。




悪いのは私を愛さない涼太だとでも言うように
私たちは都合の良い言い訳を並べたてて身体を重ねまくった。









康二は言葉通り私を沢山愛してくれた。




はじめは私が求めた分だけ、

それが次第に、私が求める以上になっていって、











「な、旅行行こ?」

「……え?」

「もう予約してあんねん。タイ行って俺の親戚に挨拶しよ。俺ら一緒になるよーーって。はは、楽しみやわぁ」

「ちょっ……と、まって、…それは無理だよ」








「無理?何で何で??

てかA……いつまで俺のこと待たせんねん。

そんな旦那、はよ捨ててしまえばええのに」










やがて私が戸惑い、胸焼けするほどに
過剰で危険な愛を一方的に押し付けるようになっていった。






してもない未来の約束まで口にするようになり


やがて私の職場にまで押しかけたり
涼太の元へ行きかけたせいで、


私は完全に康二とは終わりにしようと決めて逃げた。
…必死に逃げたのに。





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ありす - 全部凄く面白かったです!ドロドロ感が最高です!!特に奇術師の愛の地獄がぶっ飛んでいて好きです!!いつも楽しく読ませていただいております!!続き読めたら読みたいです!!いつも楽しい作品をありがとうございます🙇‍♀️ (7月31日 1時) (レス) @page50 id: b62757b173 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ゆきさん» ゆき様心躍るコメントを有難うございます😭♡そんな風に言って貰えれば嬉しいなと思って書いていたのです!私自身こんなお話が好みでどうもダークめにしがちなのですが、その部分を共感して頂けているようですごく有難いです。心から感謝です😭♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、お待ちしておりました(笑)とんでもない、ただのカタストロフィなんです😭(?) 3つも挙げて頂けて歓喜です!いつかユッピン様にドロドロが好きでと言って頂けてからこの路線で書いていくことに自分でもハマれました。本当にありがとうございます!♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - みりぽんさん» みりぽん様っっ!今回も最後まで見てくださってありがとうございます😭♡ニコイチは現代ぽくない上にぶっ飛びレベルがちょっとアレだったので不安でしたが…。そう言って頂けて本当に良かったです😭ありがとうございます♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - なかさん» なか様いつもありがとうございます!そんなに褒めて頂けて、もう…もう…羽ばたいちゃいそうです😭♡こちらこそ、毎度感動するご感想を送ってくださり心から感謝です!今後もどうぞよろしくお願いします🙇‍♀️ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Haruno | 作成日時:2021年11月6日 6時

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