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いやだ
やめて
助けて
咽び泣いても私に絡みつく腕の感触がいつまでも離れないまま意識を失ってしまった。
「…っ」
目覚めると私は布団の中にいた。
「あ、起きたね」という声の先には佐久間さん。
いつもの蝶ネクタイにサスペンダーの姿ではなく
上半身は何も着ていないまま私の髪を優しく梳かしていた。
咄嗟に起きあがろうとすると自分も半裸だということに気づき、咄嗟に布団をぎゅっと握った。
「、…佐久間さん、私」
「んー?」
「昨日……って、私は何を」
「にゃはは、やだなあ〜?忘れちゃったわけ?」
「俺と沢山愛し合ったでしょ?」と
佐久間さんは怪しく囁き、首を傾げて笑う。
……そんなはずない。
私は誰か、それも大勢に襲われたはずなのに
じゃあもしかしてそれは夢…?
頭が混乱して青ざめていたのか
「大丈夫?ほら、俺とぎゅーしよ?」と佐久間さんが
その男らしい胸に私を抱き寄せた。
「すーっごく可愛かったよ?…乱れてるA」
「…私と佐久間さんが、?本当に、最後まで…?」
「ほんとだよ。Aもいーっぱい俺のこと愛してくれたから…俺も愛しすぎちゃった」
「ほら見て?」。
そう言って彼は抱きしめたまま背後の鏡に私の身体を映すと、胸元の髪をはらりと捲りあげて夥しいほどにつけられた“ 愛の証 ”を見せた。
そのあまりの量と血のような鮮やかな赤に
私の背筋はゾクリとする。
赤……血?
何故だろう。こんなものじゃないほどの
「そろそろ夜講演の準備しに行こ?」と彼に服を着せられ手を引かれて現場に行くと
ざわざわとしていた団員たちが一瞬で静かになり、
皆一斉にぎこちない笑顔を向けた。
「佐久間さんお疲れ様です!」
「お疲れ〜みんな夜も頑張ろうね〜」
佐久間さんのことも私のこともよく思ってなかった人たちまでニコニコと、まるで作られたような、怯えたような笑顔を貼りつけてこちらをみていた。
そんな中で私はふと気付く。
……団長がいない。
そのことに誰も触れることなく稽古や準備に入ってしまった為に、私は講演が終わるまで何とか笑顔でやり過ごした。
「…ぁ」
「…お、お疲れ様です」
舞台裏、1対1で顔を合わせた意地悪な先輩は
私を見てビクリと怯えた後、
「許してな、今までのこと。本当に申し訳ない」と言って深く頭を下げた。
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ありす - 全部凄く面白かったです!ドロドロ感が最高です!!特に奇術師の愛の地獄がぶっ飛んでいて好きです!!いつも楽しく読ませていただいております!!続き読めたら読みたいです!!いつも楽しい作品をありがとうございます🙇♀️ (7月31日 1時) (レス) @page50 id: b62757b173 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ゆきさん» ゆき様心躍るコメントを有難うございます😭♡そんな風に言って貰えれば嬉しいなと思って書いていたのです!私自身こんなお話が好みでどうもダークめにしがちなのですが、その部分を共感して頂けているようですごく有難いです。心から感謝です😭♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、お待ちしておりました(笑)とんでもない、ただのカタストロフィなんです😭(?) 3つも挙げて頂けて歓喜です!いつかユッピン様にドロドロが好きでと言って頂けてからこの路線で書いていくことに自分でもハマれました。本当にありがとうございます!♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - みりぽんさん» みりぽん様っっ!今回も最後まで見てくださってありがとうございます😭♡ニコイチは現代ぽくない上にぶっ飛びレベルがちょっとアレだったので不安でしたが…。そう言って頂けて本当に良かったです😭ありがとうございます♡ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - なかさん» なか様いつもありがとうございます!そんなに褒めて頂けて、もう…もう…羽ばたいちゃいそうです😭♡こちらこそ、毎度感動するご感想を送ってくださり心から感謝です!今後もどうぞよろしくお願いします🙇♀️ (2021年11月30日 19時) (レス) id: 33b6f5a04f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haruno | 作成日時:2021年11月6日 6時