# 18 ページ18
夏の終わりとともに、やはり山田くんと会う日は減っていった。
俺の邪魔をしてはいけないと思ったのか、
毎日図書室に通っていた山田くんも、
時々しか顔を見せなくなった。
邪魔だなんて思ったことはないけれど、
山田くんの気遣いを無駄にしたくはなくて、
黙っていた。
そしてそれから、山田くんは一切“スキ”だと伝えようとすることはなかった。
山田くんが時折悲しい顔をすることに気づいていたけれど、俺は見ないフリをした。
…最低だ。
そんなことわかっていた。
もう全て投げ捨てようと、何度も思った。
全て捨てて山田くんと共に生きよう。
高校生ながらにそんなことを思った。
それくらい、本気で山田くんが好きだった。
その思いに反して、山田くんの笑顔を見る回数は日に日に減っていく。
俺と一緒にいたら、山田くんは笑顔になれない。
俺なんか忘れて、他の人のところで幸せになればいい。
次第にそんな考えに支配されて、図書室へ行くのも辞めた。
山田くんには、もうそれから会わなくなった。連絡も途絶えた。
そのまま月日は流れ、次に山田くんに会ったのは卒業式の日。
“最後に図書室へ行こう。”
そう思い立ってひとりで図書室へ行った。
何度も通った道、何度も開けたドア。
それから、何度も座ったあの席に目を向けると、
「…あ、」
山田くんが、ぽつんとひとりで座っていた。
目が合う。
動けなくなる。
「…いのおせんぱい、」
座ったまま俺を見上げる山田くんの瞳は、
潤んでいた。
初めて、彼の瞳が揺れたのを見た。
「俺、東京行くから。」
こんなことしか、言えなかった。
“ごめん”だって、
“ありがとう”だって、
それから“スキ”だって、
いくらでも伝えるべき言葉はあったのに。
俺は最後まで、臆病で弱虫だった。
そんな俺に山田くんは、
「そうですか。がんばってくださいね！」
そう、笑顔で言った。
久しぶりに見た笑顔は、
やっぱり真っ白だったけど、
なんだか少しだけ歪んで見えた。
これが、山田くんと俺の最後だった。
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ゆめまる。 - 早く更新して欲しい!! (2019年1月5日 22時) (
レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
# や ま だ り さ(プロフ) - はじめまして！この作品とっても面白いです！これからも頑張ってください！あ、宣伝してもいいですか？「〜HSJのBL短編集〜」っていう作品を書いてるので是非見に来てください♪評価お願いします！ (2018年11月26日 7時) (レス) id: b6b48a1626 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - あんこさん» お読みいただきありがとうございました！素敵なお話だなんて…嬉しすぎるお言葉です…。 (2018年11月24日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - あひる☆さん» いつも楽しく読ませていただいております〜!!続き、書いてみようかなぁなんて思っていたり…！もしお話公開したら是非見に来てくださいね♪ (2018年11月24日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - はじめまして！とっても素敵なお話でした…お疲れ様でした！！ (2018年11月24日 17時) (レス) id: 31e5093717 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りょんな | 作成日時：2018年11月11日 17時
