検索窓
今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:112,509 hit

# 13 ページ13

「いのおせんぱい、つづき、は…?」



「…山田くん、本気で言ってる?」



そんなことを聞いたのは、自分の気持ちを自分自身で決めることができなかったから。


はじめて会った日の、あの真っ白な山田くんが脳裏によぎる。

あの白を、汚してしまっていいのだろうか。

頭のどこかで誰かがだめだと叫ぶ。
それは、理性なんかじゃなくて、
もっともっと自分勝手な感情。

山田くんを、あの日のまま、
綺麗なまま仕舞っておきたい。
何にも汚されることなく、
例えるならば地上に舞い降りた天使のように、
眩しく笑っていてほしい。


そんな願望とは裏腹に、この手で汚してしまいたい、なんてそんな願いも顔を覗かせる。

山田くんのすべてを、手に入れたい。
全部知りたい、全部欲しい。



そんな、対立するような、それでいてふたつにひとつのような選択を、俺は放棄して山田くんに丸投げした。


要するに、俺は弱かったのだ。
自分で決断することから逃げた、弱くて、臆病な俺。



そんな俺の耳もとに、山田くんは口を寄せて、
優しい声でこう言うのだ。




「俺のぜんぶ、もらってください。」




その後は、もう止まらなかった。

絡んで、縺れて、交わって、重なって。

その日、俺と山田くんは初めてひとつになった。

吐息も、甘い声も、滑らかな肌も、
きっとこれから先何もかも忘れることはできないだろうと思った。



山田くんは、やっぱり全てが魅力的で美しかった。

でも、たったひとつだけ、俺が間違っていたことがある。


…山田くんは、どこまでも真っ白だった。
俺なんかが汚したって、少しも濁らないほどに。




____

# 14→←# 12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (224 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
522人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆめまる。 - 早く更新して欲しい!! (2019年1月5日 22時) (レス) id: 03ea0da012 (このIDを非表示/違反報告)
# や ま だ り さ(プロフ) - はじめまして!この作品とっても面白いです!これからも頑張ってください!あ、宣伝してもいいですか?「〜HSJのBL短編集〜」っていう作品を書いてるので是非見に来てください♪評価お願いします! (2018年11月26日 7時) (レス) id: b6b48a1626 (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - あんこさん» お読みいただきありがとうございました!素敵なお話だなんて…嬉しすぎるお言葉です…。 (2018年11月24日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - あひる☆さん» いつも楽しく読ませていただいております〜!!続き、書いてみようかなぁなんて思っていたり…!もしお話公開したら是非見に来てくださいね♪ (2018年11月24日 23時) (レス) id: a65994f48d (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - はじめまして!とっても素敵なお話でした…お疲れ様でした!! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 31e5093717 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りょんな | 作成日時:2018年11月11日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。