あっちもこっちも全部俺！ 2

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俺は静かにステージに出ると、集まってくれたファンのみんなに深く一礼をした。

『本日はイベントに参加して下さり、ありがとうございます。これから俺が話すことは全て真実であり、何ひとつ嘘はありません。それからスマホの使用は自由ですので、外部の方とやり取りして下さっても構いません。少し長くなりますが、最後まで聞いてもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします。』

一通り挨拶と説明を終えると、俺は早速本題へと移った。

『今回、週刊誌のスクープという形で世間をお騒がせしてしまった件について、まずはお話をさせて頂きたいと思います。』

集まってくれた数少ないファンのみんなは、一様に真剣な面持ちで俺を見つめている。
生配信のカメラも同様だ。

『先日社長がマスコミの前に出てくれました。それは会社のためでも自分のためでもなく、全ては俺のためです。俺のために社長は、つかなくてもいい嘘をついてくれました。バレたらそれこそ社長の立場も会社も危ないのにです。』

――健二郎「直人さん、止めなくていいんですか！？」

――直人「いいのいいの。俺たちは黙って見てよう？」

直人さんと健二郎さんがどんな思いで見ているかわからないけれど、2人とも止めには来なかった。
だから俺はそのまま話を続けることにした。

『あの週刊誌に載っていた写真の人物は、正真正銘俺自身です。俺と、俺が心の底から"人生の全てをかけて守りたい"と思っている女性です。』

俺からの告白に、ファンのみんなもさすがにどよめいた。

カメラの向こうで見ている人たちは、一体どんな反応をしているのだろうか。

Aは……どこかで見てくれているんだろうか…。

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