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晴「そうか…お前が決めた事だから俺は止めん。立法にも会いたくないんだろ」
『…うん。サヨナラって力まで使って言った』
晴「そうか…なら、今度は俺から会いに行く」
『待ってる』
行ちゃんに頼んで隠世の扉を開ける許可を貰い、その入り口でイツキと別れの挨拶をしている
ここからもう一度宮殿に上がれば、用の無い時はずっと出ない事も含めて話すと、イツキは否定をせずに聞いてくれた
最後に元気でなと、ぶきっちょうに頭を撫でながら彼は扉を閉める
もうここからは僕は奉公人ではなく天皇として職務を全うしなくてはいけない
そう、心を切り替え、家紋の入った羽織を翻した
◆
それから暫くは自身の書斎から引きこもる日々が続いていた
行政にも負けない忙しさに目が回りそうだと頭を抱える
「陛下…司法様がお見えです。」
『どうぞ…』
開いた扉からヒョコッと顔を出したのは白洲獄を納める司法ことしぃくん。彼は人虎だ。
彼も昔馴染みでとても仲が良かった
司「ほんとに仕事してるんよ…」
『む、失礼だな』
しぃくんはもの珍しげに僕を見ては書類を見る、と交互に視線を動かしながら、奇妙な顔つきでうーんと唸った
『なに?』
司「いんや……立法と喧嘩したん話は本当なんやね」
『…』
司「立法寂しそうやったんよ。ここの所うわの空やし、女の子と遊びにも行かんってシズクちゃん言ってたんよ…?」
聞いてるん?と覗き込んでくるしぃくん
僕はそれから逃げるように、椅子から腰を上げた
窓から外を見ると、ちょうど下の方にいもり池が見える
無意識の内に探したのだろうか…
もうどうだっていいと割り切ったはずなのに、立法が歩いていないか、つい考えてしまった
心の片隅に、立を心配する自分がいて可笑しく思う
司「また真ん中に入ろか?」
『ううん…いい。立離れするには丁度いいから…』
司「そか……はよ、仲直りするんよ?」
そう言って虎の姿で僕にすりよってきたしぃくんは、暫くくつろぐと窓からどこかへ消えて行った
カランと音を立てて万年筆が転がり落ちる
仲直り…だなんて…
昔のように素直だった僕はどこかにそれを置き忘れたようで、たった一言が言えずにいた
きっとそれは立も一緒
もう一度いもり池に目をやると、シズクちゃんが必死の形相で走り去るところだった
会いたくないのに会いたいと思うのは何故だろう
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氷夜猫(プロフ) - 凛歌さん» 返信が遅れて大変申し訳無い!;;暖かなコメ有難う御座います!まだ見ていて下さるのならばこれからも何卒宜しくお願いします! (2017年10月15日 10時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
凛歌 - 友達から勧められて読んでみたんですが、とても面白かったです!更新頑張ってください!!(^^)y (2017年8月8日 16時) (レス) id: bd63f33454 (このIDを非表示/違反報告)
氷夜猫(プロフ) - 翔也さん» 暖かなコメントを有難う御座います!確かにあまり知られてないですよね…そのお気持ち分かります(´ー`*) (2017年5月20日 15時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
翔也(プロフ) - モノノケ庵なのじゃぁぁぁぁ!!面白いです!更新頑張って下さい!僕の周りにモノノケ庵知ってる人少なくて悲しい. : * ~ * : . _ . ( 寂 ´ ・ ω ・ ` 、 ) シ ョ ホ ゙ ホ ゙ ホ ゙ ー ン (2017年5月12日 7時) (レス) id: 8a71459d56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷夜猫 x他1人 | 作成日時:2017年4月1日 8時