【不機嫌なモノノケ庵】泡沫に響く唄【男主有】 (ページ3)

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「今日もコウラ様は美しくてのぅ、たまらんのじゃ！」

『そうか』

「私はコウラだけでなくシズクも可愛いと思うよ」

『そうだな』

食事中にも関わらずA、反応薄すぎじゃ！と大きな声でプンスカ怒るシズクに便乗する立法

この兄妹の仲良きことと言えば、どの兄弟姉妹よりも群を抜いているのだろう

そんな二人の会話に興味がないわけではないが興味があるわけでもない。感情表現が上手くできないと言えば良いのだろうか

『ごめん』

シ「あ、いや！良いんじゃよ！謝らんくても！」

『あ、うん』

わたわたするシズクを見かねた立法が口を開いた

立「…仕方ないね、じゃあAに一つ法律(ルール)を作ろう」

るーる？と首を傾げるAににこりと微笑みを称える立法
また変な事を言い出すのではとシズクも眉を顰めながら立法をじっと見つめる

立「女の子になって現し世で研修！」

シ「またそんな事言い出して！しかも現し世じゃと！？A一人は危険じゃ！」

立「大丈夫。ちゃんとお目付け役は居るから、ね？」

ね？と言われましても…
特に不安はないし

立法のいう事なら別にルールじゃなくても行くのに

止まっていた手を再び動かして食事を再開する、立法とシズクは黙ってこちらの様子を見ていたが暫くすると食事に手を付けていた

『研修って？』

おもむろに口を開く

シ「！？…行くんか？」

『ルールでしょ。そうじゃなくても立法が言うなら何でもする』

立「……。それじゃ、物怪庵と共に感情のお勉強。」

「じゃが！」と止めに入るシズクに対し「あと、」と付け加える

立「私も上司として心配な所があるから、何かあった時は連絡してね」

『わかった』

シズクはそれを聞いて渋々ながらも了解したらしい
その後は何も言ってこなかった

食べ終わった食器を片す

あれからシズクは部屋に、立法は貯めまくった書類処理に奉公人達から引きずられるようにして出て行った

何も無い自分は皿洗いのお手伝い

心地の良い水に触れながら窓の外の景色を見た
真っ暗で何も見えなかったけど、そう言うのも含めこの景色と一度離れなくてはならないと考えると何だか胸が苦しかった

「A様？」

『あ、ごめん』

「いえ、外を眺めていらしたので…お寂しゅう御座いますか？」

『寂しい…？…そうかも。でも』

でも？と続き待つ奉公人に、少し笑って「楽しみ。」と一言残した

初めての感情。