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下手すると僕もあぁなってしまうのかと、大きく広がった根を見ながら思う

かなり進行しているから、助かる可能性は殆ど無いんだろうなと目を伏せた



芦「えっ!?何で閉じちゃったんですか!!まだ親分が…」

「小僧よ、ワシの体をよく見ろ」

芦「は?一体何なんです?」



黙っているイツキ
ハナエはよくわからないといった風だった。


寄生樹は僕達妖怪からすると祟りであり、ハナエ達人間からすれば不治の病のようなものだ

一度取り憑かれて根が張ってしまえば、1つの方法を除いては助からないだろう。
…その方法だって助かる可能性が低いのだから


待つのは死と思っていい。



芦「その根、全部切ってでもオレが隠世へ祓う!!」

晴「あ?はぁ?ちょ、ちょっと待て切るって…!!そこら辺の木の根じゃねえんだぞ!」



だったら他の方法!と反論するハナエに、Aは目を細めた
親玉も言えなかった思いを吐き出すかのようにハナエにむける


この妖怪。
強い心があるじゃないか。



『イツキ。使いなよ』

晴「っ…お前が一番わかってるだろ」

『だから言ってる。大丈夫』



苦しそうに顔を歪めてハナエの首から薬を取った

イツキは本当は使いたくないんだよね。ソレ…
でも方法はそれしか無いから



晴「一つだけ方法がある。」

芦「何ですかそれ?」

『寄生樹を一時的に弱らせる薬。でもね…』



その効力として激痛が走る。息絶えてもおかしくないくらいの、ね


ハナエが息を呑んだ



晴「それでも飲むか?」



静けさだけが残る教室
イツキはただじっと待つだけ。

そこに意を決した妖怪が静寂を消すように隠世に祓って欲しいと願った

それは薬を飲むという事


晴「それが望みとあらば」


イツキが薬を入れようとする時
僕はそっと左手で妖怪に触れた

"てつだってあげる"



晴「おい何やってんだ。離れろ」

『いいから、入れて』

芦「Aさん?」



『ハナエ、耳をふさいで目を閉じて。何があってもそれだけは絶対守って。』



そう言うとハナエは不思議がりながらもそれを実行した
納得いかない顔のイツキ。

早く。と急かすと「後で覚えてろ」と薬を投げ入れて離れた



『ごめんね』


僕の周りを風が包み、右から大きな羽がバサリと広がる
僕の"もう一つ"の本来の姿

妖怪に触れていた左手に火傷の後が浮かび上がり、寄生樹を燃やす炎を強くした





これは


一度寄生樹に寄生させられた力の強い僕だから出来る事。

イツキは僕から目を逸らした

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作者名:氷夜猫 | 作成日時:2017年3月23日 18時

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