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人虎事件_完 ページ11

貴『…何故…こうなった……』


今の現状を説明すると、あの後気を失った敦を太宰が受け止めたのだが…

「男と抱き合う趣味はない」と自分の方へ投げ飛ばしてきたのだ


実に迷惑極まりない。

そして、それだけならまだしも家まで連れて行けと言われ今に至る


貴『皆さん…お酒飲みに行って…全く』


チラリと背負っている敦に目を向ける


貴『なんて幸せそうな寝顔…これからが大変なのにね…』


ポツリと呟く

太宰は何を考えたのか区の災害指定猛獣である敦を社員にすると言い出したのだ

その時はその場にいるメンバーだけでもかなり揉めたものだ


社長と話をするとなればどのような結末に行くのやら…


この先の探偵社の事を考えると頭が痛くなる。
ただでさえ変人の集い場のようなところだ


もっと面倒事が増えたらどうしてくれる…


そう頭の中で様々な考え事をしていると敦が住む住居が間近に迫っていることに気が付き、ため息が漏れる


やっと自由だ。


正直朝から晩までつきっきりなど死んでもごめんだ。
太宰から何か言われる前にさっさと敦を寝かせて家から出よう……


ガチャリと扉の開く音がし、中にはいると真っ先に畳の部屋に向かった

手早く布団を敷くと敦を寝かせて部屋を出ようとする


出ようとするのだが…



貴『……治よりも面倒臭いわね…。』


がっしりと握られた自分の服



いつの間に掴まれていたのやら…

これでは帰れないでないか。



しばらく考え込んだ結果

振り払うのは余りにも可哀想なので
安心して手が緩むまで何かしようと考える


貴『……何かをすると言っても…何を……』


敦「…い……ろ…は……た」

貴『?』


再び考え込んでいると敦が何か寝言を呟いた
しかし、余りにも小さすぎたので良く聞き取れなかった


貴『いろはた…?いろ………いろは歌?』


良くわからないのだか頭に浮かんだものがいろは歌だった
自分の父が作った歌であり自分の能力名でもある


貴『いろは歌…ね…』


懐かしむように呟くと軽く息を吸い込み歌い出す



色は匂えど 散りぬるを

我がよ誰ぞ 常ならむ___



滑らかで美しい歌声が夜の街に溶け込む

その歌を何処かで誰かが欲しているとは誰も知らないだろう


平穏な日々とは、いつか危険な場所を引き抜くと崩れてしまうようなジェンガのようだ

敦の入社試験_壱→←人虎事件_捌



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氷夜猫(プロフ) - 桜ノ莟さん» 初めまして、つまらない作品でしたらすみません…;;頑張りますので作品共々よろしくお願いします! (2016年5月29日 12時) (レス) id: 733ee73110 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ莟(プロフ) - はじめまして!まだ回覧していませんが、私と同じ名前だったので気になっちゃいました!(笑)頑張ってください^^* (2016年5月28日 21時) (レス) id: efe29be1c1 (このIDを非表示/違反報告)
氷夜猫(プロフ) - ニャリルさん» どーも! (2015年8月25日 16時) (レス) id: 48665d6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ニャリル - ちわーっす← 文豪(?)知らないけど来てみたw← (2014年12月30日 16時) (レス) id: 2fedc1766c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷夜猫 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/cat910  
作成日時:2014年12月20日 13時

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