【第三体育館】イケメン霊媒師と視えちゃう系女子

ねこの町には帰れない ページ16

この間手紙が届いたんだ。

それもふるさとのねこの町から。



内容は特に当たり障りのないものだった。


《元気ですか？もう10年帰らないので心配してます。》


その中にはオイラの好きな赤いキノコが入ってたりしたんだ。




どうやって送って、どうやってオイラがいるところが分かったのかも気になったが、嬉しさの方が格上で。



懐かしい朝のそよ風とか思い出したら泣きたくなった。



だけど今ではもう仕方ないこと。



今人間に化けて暮らしているけど、ここでとってもいい人を見つけたんだ。


どこにあるのか、もうわからない。

海の底か雲の間にあるかもしれない。



だけど返事を書いたんだ。


《ここはとてもいいところです。

仕事をしてます。恋もしました。
人の胸の中はとても休まります。》




ねこの町には帰れない。

まず帰る道だって覚えてない。

ねこの町に帰るための唄があったんだけど、それすらも覚えていない。



失くした唄は歌えないんだ。




帰りたいとは思っているけど、思い出すなんてしたくない。

幼稚かもしれないけど寂しいのは嫌だから。




寂しくなったら電話をかけて大切な人と二人、町を歩くんだ。

それならもう寂しくない。









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ねこの町には帰れない。


ここでいい人見つけたから。

ここが好きだから。




でもどうしても帰りたいんだ。

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