鴉に仕えるは従順な狼 ｰ遠吠えｰ

47話 ページ4

ｶﾞﾀﾝｯ、

「ん、あぁ…まだ高速か」

少しばかり大きめの揺れで目を覚まし、窓の外を見て、ポツリと、小さな声で呟く。

現在、時刻はAM.03:28。
まだ夜中だ。

そんな夜中に、烏野バレー部はバスに乗って高速道路を走っている。

理由は簡単。
この土日に行われる、グループ合宿に参加をするので、只今向かっている最中である。

殆どの人(日向と影山は除く)が寝ている中、途切れ途切れだが、ボソボソとした声が聞こえる。

「(誰か起きてんのか？)」

そう思い、室内を見渡す。

すると……、

「おっ…！」

本当はいけないのだが、パチリとシートベルトを外し、前の席へと移動をする。

そして、ある席にストンと座り、何事も無かったかの様にシートベルトを付け直す。

？「！？」

肩を大きく揺らして、その人は反応をした。

無理もない。
皆が寝ていると思っていたのに、突然隣に人が来たら、普通は驚くだろう。

「すみません。驚かせてしまいましたか…。烏養さん」

烏「おまっ、黒狼！起きてたのか」

「はい、ついさっきですが。目が覚めてしまって」

武「黒狼くん、走行中は立ち歩いてはいけませんよ」

「すいません、武田先生」

バックミラー越しに、此方を見ている先生に謝る。

やっぱり注意された…。

烏「で、どうしたんだ？寝てなくて良いのか」

「はい。烏養さんさえ宜しければ、少しお話ししたいのですが…」

烏「俺と…？」

「ええ。なんだかんだで、きちんと話した事が無いので。
それに……、」

烏「それに？」

「だいちゃんに、言われたので」

48話→←名前と呼び名

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す