castle～かとう編～ (ページ9)

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※♡さん注意

「んー、、っ！！！？」

スマホの着信音で目が覚めると、
5センチの距離に祐也さんの顔があった。

抱き枕を抱くような体勢でゆるく包まれていて、
身動きが取れない。

鳴り続けるスマホは、おそらく彼の方。

起こした方が良いのだろうけど、
この距離で目を開けられる事には戸惑う。

そうこうしている間に着信音は止まった。

かわいい寝顔だなぁ、、。

少し笑ってる？
夢、見てるのかな？

「！？」

「おはよ。ふふっ」

突然パッチリと目が開いたからびっくりした。

「そんなに見つめちゃうほど
俺の寝顔かわいかった？」

小さくこくんと正直に頷いてみれば、
優しく微笑みながら頭を撫でられた。

そういえば、昨日も何度か撫でられたっけ。

「ねぇAちゃん、キスしていい？」

「えっ」

突然の発言に目は完全に覚めた。

突然だけども、まあ、
状況的には不思議ではないだろう。

でも、祐也さんはいつも誰にでもフレンドリーで…

つまりは、悪く言えば…チャラいのか？？？

こうなるまで気づけない自分に呆れる。

「ねーえー、聞いてるー？」
と駄々っ子みたいな素振りを見せたかと思ったら、

「キスしよ？ダメ？」

グッと距離を寄せ、耳元で甘く囁いた。

そして真剣な眼差しで眼を合わせられたかと思えば
一気に距離は近くなり、あと1センチ…

…チュ

キュッと眼を閉じれば、
柔らかい感触はおでこで感じた。

「っも～。ケチだなぁー！」

祐也さんは、私の頭をぎゅっと胸元に押し込め、
あやすように背中をさすっている。

さっきの感触は昨日も感じた気がするが、
態々確かめることではないか。

「勘違いしてほしくないんだけど、
俺、誰にでもこうじゃないからね？
ずるい事しようとしてごめん。」

「…ううん。」

誰にでも同じだと勘違いしていたことへの
申し訳ない気持ちも込めて、強めに首を横に振った。

決して祐也さんが嫌なわけではないし、
寧ろ喜ばしいくらい。

それでも流れに身を任せなかったのは、
加藤先生が脳裏に過ったから。

ポイ捨てされる決心は付かないし、
幸せな未来も想像はできないけど、
まだ諦められていない。

「指輪、外してもいいよ。
大丈夫。シゲは誠実な男だよ。」

「え？」

唐突な言葉はすぐには理解ができなかったが、
聞かされた事実はあまりに思いがけず、
つい笑ってしまうと、祐也さんも笑った。

2人でクスクス、アハハと笑ったら、
急激に仲が深まったように感じた。