castle～かとう編～ (ページ8)

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加藤side

Aさんを待つ間
一人で見ていようと思っていたところに、
小山の好きな子が
一人ぽつんと立っているのを見つけた。

放っておこうかと思ったけど
居心地悪そうに突っ立ってるのが気になって、
俺に付き合ってもらうことにした。

…のだけど、2人で楽しく見てたら
気づいた小山が嫉妬して連れ去って行った。

そのすぐ後でAさんから電話が鳴り、
出れば、来れなくなったとの謝罪。

帰りに食事に誘おうと思っていたのに、
来ないどころか、
仕事が終わる目処が立たないんじゃ誘えない。

一通り見終えて、
まっすーと少し話して会場を後にした。

タクシーから外を眺めていると反対車線に見えたのは
女性をおぶってタクシーを止めてるカップル。

見覚えのある金髪の男。

あれは、弟だ。

そして

おぶられているのは、Aさん！？

「はあっ！？
…あ、すみません。」

急に大声を出したから運転手を驚かせてしまった。

Aさんが俺に仕事だと嘘をつく理由は浮かばない。

でも、先日聞いた知人の
この辺りのタワマンに住みサッカーをする人
というのは確かに弟に当てはまる。

酔い潰れた女性に手を出すような奴じゃないけど、
Aさんを取られるのは嫌だから、
仕事中であろうAさんに電話をかけた。

人違いだと期待して。

でも、彼女は電話に出なかった。

潰れているから？

それとも仕事中で気づかなかった？

いつもならすぐに折り返しがあるのに
日付が変わっても、かかって来なかった。

やっぱり、あれはAさんなのだろうか…？

ただの作家と編集の関係で
電話に出なかった理由を尋ねたりしたら、
偉そうで厄介な作家だと思われかねない。

だから、ズルいけど、
彼女が来る日に合わせて
確実に目に入る所へ写真を飾った。

沖縄の海で撮った兄弟4人揃っている写真。

どんな反応をするのだろうか。。