castle～かとう編～ (ページ3)

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Aside

先輩に連れられて加藤先生を紹介された時、
あまりの美しさに圧倒された。

武家屋敷のような佇まいの
立派なご自宅で待っていたのは麗しい王子様だった。

艶やかな黒髪、吸引力のあるキレイな瞳、
白くてすべすべのなめらかな肌。
少ししゃがれた素敵な声。

襟元が伸びたようなゆるいTシャツが
セクシーさまで演出していた。

そして、いい匂いがする。

一瞬で落ちた。

顔がイイとは聞いていた。

でも、それ以上に、
「チャラい人」「女なら誰でもいい」
という悪いイメージを後輩にインプットされていた。

だから、見た目が良くても好きになんてならない！
そう思っていたのに、
加藤先生は私の知ってるイケメン枠を超えていた。

これから担当するのに、やってしまったと思った。

「既婚者には手を出さないらしい」

そんな情報を仕入れてきた後輩に
社を出る直前に指輪をつけさせられていたおかげで、
それを見て直ぐに気持ちを律する事ができた。

いくら誰でも良いとはいえ
私のようなパッとしない女は大丈夫だと言ったのに、

「パッとしないところが良いんですよ。」

などと褒めてるんだか貶してるんだか分からない間に
スッと指輪を嵌められた。

彼氏でも婚約者でもなく後輩に嵌められたそれは
少しブカブカだった。

後でお礼を言っておこう。

そして失くさないように気をつけよう。