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ふと時計を見ると、
Aさんがお風呂に入って
1時間以上が経っていた。
ただの長風呂かもしれないけど、
夕食にお酒を飲んでほろ酔いだったから
のぼせてやしないかと心配になり、
コンコンコン
「Aさん？」
水を取りに立ったついでに声をかけたが
反応がないので、そーっとドアを開けた。
「Aさん、？大丈夫？」
「ふふっ、うん。
祐也さん、お土産買って行きますね！」
お風呂から聞こえる声に無事を確認して
そそくさとパソコンの前へ戻った。
「また、祐也ですかぁ〜…はぁ…」
やっぱアイツが旦那なのか？
いくらなんでもそれは報告するだろ？
小山にだけ報告したとか？
そんな大事なこと俺らに黙ってられないよな？
ってか新幹線で“独身”って言ってなかったか！？
「ああああ〜〜」
「せ、先生？」
「わっ、あぁ…ええと、俺も風呂入ってくるわ。」
「はい。ごゆっくり、？」
心配そうに声をかけてくれたAさんは
当たり前なんだけどすっぴんで、
備え付けのバスローブを着て立っていた。
変な気を起こしてしまわぬうちに
慌てて風呂場に逃げた。
もっと警戒されてるかと思ったら、
なんだよ、あの格好は！
俺、男として見られてないのか？
おい、旦那よぉ！
こんな無防備な奥さんによく外泊許可したなぁ！？
頭の中で顔も知らない旦那に文句を垂れながら
パパッとシャワーを済ませ湯船に浸かった。
「うおーー、いい景色。
これは長風呂するのわかるわ…」
「…んせ？先生？えー、どうしよう？
引きずったら怒られるかな？」
頭上でぼんやりとAちゃんの声が聞こえる。
夢か？
「っん」
「あ、先生？先生？」
肩を叩かれる感覚に目を凝らすと
ぼんやりと見えるAちゃんのアップ。
「…Aちゃん？」
「はい。あぁ〜良かったぁ。今お水持ってきますね。」
…引き寄せれば、できるよな。
「えっ！な、んんッ」
顔真っ赤にして固まってる。かわいい。
「ふふ、好きだよ」
夢なら簡単。なんのこれしき。
「…えっとぉ、お水、持ってきますね！」
グイッと押し剥がされ、
Aちゃんは猛スピードで去ってしまった。
「ダメなのかよ！俺の夢なのに！痛っ」
体を動かして気付いた。
夢じゃ、ない！？
「起きましたか？
お水持ってきました。飲んでください。」
「あ、はい。ありがとう、ございます。」
「ふふ、では。着替えたら早く出てきてくださいね。」
「あぁ、うん。」
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作者名：ネロリ | 作成日時：2021年5月5日 18時
