mixed race_xx (ページ9)

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g s_2 ページ9

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　左手にはふんわりとした温もりが伝わってくる。
　心地よい風に吹かれながら彼を寝かしつけているうちに、自分まで眠くなってきてしまった

　それを知ってか知らずか、襟元に伸びてきた手が服を摘んで緩く引っ張ってくる

　思わずハッとした。
　数秒それがなんの要求かを考え、これが所謂おねだりかと1人合点がいく

　自然と上がってしまった口角を隠しもせずに、頑張って体を折り曲げて唇に口付ける。
　離れ際に小鳥のさえずりのような音がしたが気のせいだ

　予想に反して目をまん丸にした彼は大きく瞬きをした後、困ったように顔を真っ赤にした
　どうやら要求されたものが違ったらしい。

　自信満々にキスしたのは恥ずかしくもあるが、結果的に可愛らしい反応が見れたので満足である。
　寝かしつけるという当初の目的をすっかり忘れ、揶揄うように頬っぺをぷにぷにと指で突いて遊んだ

　ムッとした表情も可愛いなぁなんて思っていると、
今度は体に抱きつかれてそのまま引き倒される。
　一緒に横になって寝たかったらしい

　鳩尾の辺りに額をぐりぐりと押し付けているが、髪の隙間から覗く耳が真っ赤だ

　「かわいいなぁ...」

　「......」

　不機嫌そうに唸り声をあげて、居心地のいい収まり方をもぞもぞと探している。
　好きなようにさせてあげていると、良い場所を見つけたようで全身から力が抜けた

　こちらの胸に額をぴったりくっつけて、手脚を軽く折り畳んでまるまっている。
　頭の下に腕を差し込み、もう片方の手を背中に回して彼を抱き込んだ

　本来なら吸血鬼の彼がこの時間に眠くなるのは当然なのかもしれない。
　いつもは無理をしているのではないか、人間の生活に合わせてくれているのではないか。

　だとしたら、私の前でお昼寝をしてくれることはとても喜ばしいことなんじゃないか。
　普段はおすまし顔して姿勢を正すことを忘れない彼が、こうしてだらしなく油断してくれていることに自惚れてしまいそうだった

　心を許して、気を緩めて、甘えを見せてくれるのは私にだけがいいと、本人にはとても伝えられない

　またスースーと穏やかな寝息が聞こえてきて、せっかく用意してきたランチのことも忘れたまま静かに目を閉じた。

　長いお昼寝のせいで夜行性になってしまっても、彼とならそれもいいかもしれない

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