m d_2 ページ11
_ Remus side.
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森に入って少ししたところ
この子がついてきてしまった辺りにミルクを注いだ皿を置いて、なんとか上手くここまで誘導できた。
ツノがない丸い頭を撫でて、お皿に夢中になっている隙にその場を静かに離れる
鹿がついてくるなんて体験、一体いつぶりだろう。
これに犬とネズミもいたなら、少し昔を思い出したのかもしれないな
足早に家へと戻る最中、鼻歌でも歌い出しそうな気分だった。
彼が迎えに出てきたときの、キッチンから漂う甘い焼き菓子の香りが思い出される
今日のお菓子はとびきり甘いやつに違いない。
シフォンケーキやマフィンみたいなフワフワのではなく、砂糖とバターの塊みたいなサクサク系のやつだ
だって、あれは半分自分のために作っているようなものだから。
彼も食べるのだから当たり前とか、そういう意味ではない。
Aの目的はつまり、私の血糖値を上げること
私の恋人はとびきり甘い血をご所望のようだ。
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玄関の戸を開ければ、青いエプロンを身につけたAが今まさにオーブンから鉄板を取り出し終えたところだった。
私が帰ったことに気づいて、こちらにミトンをつけた手を振る姿に幸せを感じる
すぐにそちらへ向かい、愛しい彼を後ろから抱きすくめた
「上手くいった？」
「一応はね。ちゃんと帰れるといいな」
「ダメだったらうちで飼う？」
「それもいいかもしれないね」
焼き上がったばかりの薄い生地を器用に整形していく手元を眺めながら、ちょうどいい位置にある頬に唇を寄せる。
邪魔だと追い払われないのをいいことに、もう少しだけ白い肌に口づけを落として遊んだ
「コラ、悪戯するな。」
「心外だな。愛情表現だよ」
想い人を腕の中に収めながら、焼き菓子特有の甘い香りに包まれれば気分も浮かれるだろう。
彼もなんだかんだ満更でもなさそうだ
「ほれ、口開けて」
手ずから差し出された出来たての菓子を齧ると、思った通りにサクサクと音を立てて口の中で崩れた。
蜂蜜とバターの柔らかい味わいにジンジャーのアクセントが効いている
「まったく君は天才的だ」
「大袈裟だな。
...これから俺に食われるってのに」
「私にも君を食べさせてくれるんだろう？」
「俺は美味しくないぞ」
「丁寧に下拵えして美味しく調理するさ。」
「変態。」
まだ明るい空の下、2つの影が混じり合う。
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三做村匡(プロフ) - めちゃくちゃ性癖にどストライクで大好きです……応援してます (2022年9月9日 10時) (
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作者名：yamanarashi | 作成日時：2021年5月24日 19時
