94 _departure. ページ11
_ Your side.
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「もう、行ってしまうのかい？」
「1日ぐらい休んでいったらいいじゃない」
治療を終え、最後の朝食をご馳走になってからここを出ることに決めていた
お互いに多少の疲労はあれど、これ以上迷惑をかけたくないというのも意見は一致している
ベストコンディションとは言えないが、精神的な問題は粗方片付いたと言っていい
今まで練ってきた作戦を実行して現状を打開する。
今ならなんとかなりそうだ
そんな気がする
「短い間でしたが、お世話になりました。」
「またいつでも帰ってきていいんだからな」
「ありがとう。2人も元気でね」
「貴方達も気をつけて」
ここにも暫く来ることはないだろう
お見送りまでしてくれた2人に別れを告げ、ゆっくりと目的地へ足を運んだ
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「....心の準備は？」
「なんとなく」
「大丈夫そうだね」
家を出てからここまで、しっかり尾行されている。
同じ人間が四六時中見張っていられるわけはないのだから、運良く別の見張りになっていないかと期待したが駄目だったようだ
それも計算の内ではあるんだが
目的地は、人里離れた深い洞窟の最深部
奥までかなり距離があるから、姿くらましを見失わないためには必ずここに入ってくる
魔法で罠を仕掛けてもすぐに気づかれるだろう
できれば強行手段は使いたくない
行き止まりに着き、足を止める
「出てこいよ、あんたなんだろ
.....シャックルボルト、だっけ？」
「....覚えていただけていたとは、光栄です」
闇から溶け出すように男は姿を現した
杖先から出るわずかな光が辺りをぼんやり照らす
「話があるんだ。聞くだろ？」
「....どういった心境の変化でしょう」
「こっちに聞いてくれ」
珍しく目つきの鋭いリーマスを見やる
すぐに笑顔を作ったが、俺の見えないところで腹の探り合いが行われているようだった
「あなたは、リーマス・ルーピンですね」
「そう！ あなたと交渉がしたい」
あれほどの使い手なら閉心術の心得ぐらいはあるだろうから、ここからはリーマスの技量にかかってる
「こんな逃げ場のない所で、いいのですか？」
「もちろん。私たちは無実だからね」
一瞬の無音の中にも緊張が流れている
どうやら主導権は勝ち取ったらしい
「.....話を聞きましょう」
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作者名：yamanarashi | 作成日時：2021年1月10日 19時
