酒言葉3 青×桃

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黄side


「ありがとうな、心配してくれて。でも大丈夫やからもう寝な？家事で疲れてるやろ？」

〔ふふっ、疲れてるのはじゅんくんもでしょ？笑 でも、そういう優しいところ好きやで〕


そんなん言われても嬉しくない


俺はKIRAに言われたいねん


"好き"って。"愛してる"って。


〔ほな、おやすみなさい〕


"ちゅっ"


俺の頬にキスしてリビングを出て行った嫁


足音が聞こえなくなり、寝室の扉が閉まる音が聞こえたら


俺はソファーから立ち上がりスマホと財布と鍵だけを持って家を出る


嫁と少し話してわかった


やっぱり俺はKIRAが好きや


なんでも、"嫁がKIRAやったら…"なんてことばっか考えていて


KIRAを超える存在を俺の中で作ることなんてできへん


キスされた感触をかき消すように頬を擦って、さっき隠した紙を取り出す


「…もう自分に嘘なんかつかへん」


俺は自分の心に嘘ついて、結婚して子供まで作った


でもそれは親の幸せのために自分の幸せを後回しにしてただけ


もうそんなことしたくないねん


親の幸せを優先するのはここまでや


これからは俺の…自分自身の幸せを優先させたい


俺にとって一番の幸せはKIRAと一緒になることやねん


「ふぅ…よしっ」


やっと決心した俺は出てくれるかわからんけど紙に書かれた番号を入力する


"トゥルルル"


コール音が鳴り響く中、心の中で


頼む。頼むから出てくれ


と、何度も願い続ける


だけど…


「っ…出てくれへんか…」


どんなに待ってもずっとコール音が鳴ってるだけで出る気配はない


あぁ…ダメか…俺みたいな最低な奴の願いは届かへんか…


そう思って諦め、コール音もそろそろ途切れるだろうと思った時


『…もしもし？』

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