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裕翔side
今日の慧姉は上の空。
俺が撮った父さんと雄兄の写真も欲しがらないし、
母さんの炊いた白米も減らない。
「慧姉、ねぇねぇ、どうしたの？」
慧「ほぇえ？大丈夫だよぉ、」
ボンヤリとした返事をして、
白米の乗ってない箸を噛む。
なにかを考えてる慧姉なんて始めて見た俺は、
大分気になって、
心配で、
ねぇねぇと声をかけ続ける。
いつの間にか圭人にも伝播して、
２人でねぇねぇと慧姉を呼ぶ。
圭「…慧姉…、」
泣き虫圭人は泣きそうで、
慧姉はやっと白米を食べ終わった。
雄「慧？」
慧「…んぁ、ゆーやだ、」
雄「うん、雄也だよ。」
うわー、って圭人と２人で突進して、
長くて細い足に隠れながら様子を伺う。
慧「…私ってさ、ピアノ上手いと思う？」
雄「…ん？まぁ、うん。」
慧「そっかぁ…、」
ポヤポヤと慧姉はダイニングを出ていく。
雄兄も首を傾げて不思議顔。
だけど思い出したようにキッチンの母さんの元へ向かう。
俺達２人も引きずられてるテイで、
…えっと、引きずられてるってことで、
雄兄と一緒に母さんのところに行く。
雄「今週の日曜、行ってくる。」
光「分かった。…またみんなで行ける時になったら、一緒に行かせてくれよ？」
雄「…あー、努力は、する、します、…うん。」
雄兄の困り顔は最近沢山見る。
長男の頼りがいのある雄兄だけじゃない、
雄兄って人間の姿を。
平面的な写真の中だけじゃなくて、
確かに存在してる人間としての雄兄を、
最近俺達は沢山目撃してる。
それがほんの少しだけ申し訳なくもあって、
つまりなにも知らなかった過去を悔やんでて、
だけど嬉しくもある。
光「というか、慧はどうしたんだよ、」
雄「ね、どうしんだろうね、」
圭人は大きく首を振る。
俺も負けないくらい振る。
母さんは、私に任せてなって言って、
ニッカリ八重歯で笑ってみせた。
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作者名：KEI x他1人 | 作成日時：2020年9月4日 0時
