9人暮らし！～毎日が非日常～ (ページ26)

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【閑話】トラウマスイッチページ26

宏太side

雄也の部屋、

ベッドの上、

こんもりと盛り上がった布団の中。

雄也は体育座りで膝に顔を埋めて、

　

小さく震えていた。

「ゆーうや、」

雄「っ、とう、さん……、」

「思い出しちゃったか？ママのこと、」

こくり、と首は縦に振られた。

「びっくりしたよな、」

もう一度、首は縦に動く。

「怖かったか？」

暫しの沈黙、それから肯定。

雄「怖かったの。圭人が、死んじゃうんじゃないかって、ママみたいに、」

「そりゃそうだよな、」

あれは、まだ小学生にもならない頃のことだった。

幼かった雄也が傷つかない訳がないし、

その傷を上手く消化できる訳もない。

俺みたいな逃げが最適解だとも言わないけど。

雄「ね、圭人、大丈夫だった？」

「大丈夫だったよ、最近の寒暖差に身体が追い付かなかっただけだって、」

雄「そっか、よかった…、」

安堵したのか、ほんの少し表情が緩んで、

そのままベッドに吸い込まれていく身体。

極度の緊張から抜けだしたせいだろう。

結局光の言った通り、雄也まで倒れちゃったな。

「不甲斐ない親だよ、本当に。」

雄也の癖のある髪をすきながら呟いた言葉は、

静まり返った室内に、嫌に響いた。