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大貴side
ついた先は、
案の定というかなんというか、
海。
雄兄は海が好きだから。
雄「それで、何があったの。」
「え、なにが！？」
慧「大ちゃんの隣の席の人がねぇ、大ちゃんのこと、道化師だって言ってたよ。」
「俺が、道化師？なわけないじゃん！」
そうだよ、俺は道化師だ、って、
耳の奥で低い声がささやいた。
途端に、上手く作りあげた筈の笑みが崩れて、
背に冷や汗が流れていく。
慧「大ちゃんのそれ、演技だったんだね。」
「そんな、こと……、」
慧「なんでそんなことするの、」
「……だって、そうでもしないと、俺、忘れられるんだもん。年齢順じゃ、兄弟の真ん中で、偶数だから圭人と裕翔もそうだけど、あいつらは双子だし、」
慧「それで、忘れられないように振る舞ってたんだ、ふーん、」
雄「それに気づかなかった俺たちも悪いから、こんなこと言っていいのか分からないけど、」
残酷だね、って雄兄が笑った。
雄「そりゃ勿論、父さんも母さんも皆平等にはできないかもしれないけど、でも皆をちゃんと愛してるよ。なのに、それを疑うんだね、大貴は。」
「え、そ、そんなつもりじゃ…、」
慧「じゃあどんなつもりだったの、大ちゃん。」
「…っ、ごめんな、なさい………、」
幼い頃からの、もはや癖みたいなものだった。
それが正しいと思って、
凝り固まった視点でものを見てた。
俺が馬鹿だったんだ、って。
雄「大貴は大貴らしくあればいいんだよ。」
慧「ね、分かった？大ちゃん、」
「うん…、っごめんね、」
本当に、ごめんなさい。
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作者名：KEI x他1人 | 作成日時：2020年9月4日 0時
