花火14 ページ14
大介side
照「一緒に、来てほしい。
って言ったら、意味わかる？」
大「...？ぇ、」
ひかるは、
追いつめられたような、苦しそうな、
俺が、初めて見る顔をしていた。
照「ごめんな、びっくりしたよな、
俺、大人になってからは、
気持ち、悟られないようにしてたから。
伝わったら、もう俺のそばに、いてくれなくなると思って、
...毎日、毎日、すげぇ怖かった。」
ひかるの手が伸びてきて、
汗で張り付いた前髪を直してくれる。
いつもの、優しい手だった。
俺の大好きな、いっちばんの友達の、優しい手。
照「こうやって、お前の柔らかい髪、直してやるのも、
苦手なお茶、代わりに飲んでやるのも、
送り迎えすんのも、
心配すんのも、
何もかも、
これからも、
全部俺に、やらせてほしい。」
大「...俺、まだよく分かってないんだけど、」
照「俺は、友達だって、思ったことない、最初から。」
大「っ、ぇ？」
照「好きだから、俺、____
蓮side
走りながら、ようやく理解した。
わざと俺を誘わなかったんだ。
あそこは、2人だけの場所、
誰も入れないでほしい、
蓮「っはぁ、はぁ、」
寝起きで全速力。
息が切れて、足を挫いたけど、
そのまま一気に駆け上がった先、
「...大介、」
俺たちの場所に、並んで座る2人。
後ろから見ても、すごく似合ってて。
ひかる君が、
大介の前髪を触ってる。
ほっぺたに手を添えられて、
ひかる君を見上げた大介。
ひかる君の顔がゆっくりと傾いて、
この後、何が起きるかなんて、
鈍感な俺でも察しがついた。
っ、
走って駆け降りて、
適当に入った路地で座り込む。
ずっと前から覚悟してたはずなのに、
頭は真っ白。
大介の好きな人。
それは、やっぱり、俺なんかじゃない。
パーン
一瞬見上げた先、
花火の音なんて聞こえなかった。
ただ、キラキラと光って、
すぐ闇に消えた。
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作者名：Aries | 作成日時：2021年8月21日 20時
