花火16 ページ16
大介side(続き)
ぽつ、ぽつ
？
小雨、降ってきちゃった、
どっか、軒下に入らないと。
走り出した途端、
大「いったっ、」
鼻緒が切れた。
サー (本降りになっていく雨)
はぁ...もう、歩けない、
浴衣に、雨と涙が染み込んでいって、重い。
この道...たしか...
片方は裸足のまま、
誰もいない神社に入って、境内に座り込んだ。
すりむけて、赤くなった足の指、
絆創膏なんて、持ってない。
いつもは、
泣きたくなったり、怪我した時は、
必ずひかるが迎えに来てくれて、
大きな傘に入れてくれて、
何してんの、って、笑って、
絆創膏貼ってくれて、
きっと、下駄だって、直してくれた。
泣きそうな時に、泣かなくてよかったのは、
ひかるが先回りして、
泣く前に、守ってくれたからだ。
俺は、気づいてあげられなかった。
こんなに俺を見てくれてた、
ひかるのこと。
蓮side
ひとしきり泣いた後、
力の入らない足で、ふらふらと立ち上がる。
...大介にとっては、今日は記念日で、
すごく幸せな瞬間だったんだ、きっと。
大介が、幸せならそれでいい、
俺は、ちゃんと諦めようって、
これまでだって、
ずっとそう思って生きてきたんだから、
俺は、...っ大丈夫、
次会ったら、
いつもみたいに、精一杯強がろう、
ひかる君とのこと、良かったな、って、
言おう...、
雨が強くなっていく中、
家に帰る気にもなれず、
ふらふらと歩き続けたら、見覚えのある道に出た。
ちっちゃいとき、
大介とおみくじ引いた神社。
確か、おみくじは今でも、あるはず。
大介と引いた時は、大吉。
友達と引いた時は、末吉。
...やっと、吹っ切れた、と思った瞬間にも、
頭に浮かぶのは、大介との思い出だった。
おめでとう、
俺の、好きだった人。
いや、まだ好きな人。
.....？
......、
......その、好きな人。
蓮「.....大介。」
(遠くで顔を上げる大介)
大「蓮？」
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作者名：Aries | 作成日時：2021年8月21日 20時
