タイムリープ8 ページ17
校庭をゆっくり進んでいくと、
その男の子は、結構苦戦している様子だった。
「先生も手伝うわ！」
奥から、学校の先生がきた様子。助かるかも。
男の子が撮影OKなら、
男の子のこと、性格とか、色々と情報を教えてもらいたいなぁ。
「もっと鉄棒しっかり握って？
思いっきり地面を蹴るの。できる？
せーの！」
落ち込んでた時とか、眠れない時、
いつも夢に出てきて、俺を励ましてくれた声。
なぜか、分かんないけど、涙が止まらない。
なんで？
あの先生のこと、初めて見るのに。知らない人なんだけどな。
アポなしだから、いきなりこんな、泣いてる男が現れたら、
先生も男の子も引くだろうな、
不審者だと思われるかも....。
「よし、もう1回やるよ？
もっと鉄棒に胸を引き寄せて？
思いっきり地面を蹴るんだよ？いい？」
やっぱりそうだ。
この声を、俺は、知っている。
「できないー。もうやだ。」
「大丈夫、先生が、出来るようになるまで、
教えてあげるから！」
男の子の手をとって、励ましている彼。
優しい先生なんだろうな。遠くから見てても、分かるよ？
..........だって、昔から、優しかった、から.....。昔から.....。.....っ！！
知っている。覚えてる。
あの背中も、手も、声も、彼の全てを。
一緒に、一緒にまた、
俺はお前と、一緒にまた！踊りたい！！
「せんせー、あの人だぁれ？
こっち見てるよ？」
「ん？どこ？」
校庭に吹き抜ける風の中、
揺れる横髪を耳にかけて、
大好きな人が、
俺の大好きな人が、振り返った。
-『タイムリープ』end-
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作者名：Aries | 作成日時：2020年5月23日 23時
