タイムリープ7 ページ16
佐久間side
2025年。デビューして5年が経った。
ラウも、成人して、この前は、一緒にお酒を飲みに行った。
今年も、今週末からドームツアー。
グループの地上波レギュラー番組は11本。
世間での認知度は確実に上がって、
おじいちゃんも、おばあちゃんも知ってくれているグループになった。
グループの仕事だけでなく、
個人の仕事でも、全員が海外を飛び回っている。
だけど、ふと、考えることがあって。
俺らって、最初から8人だったの？
落ち込んでいる時に、よく見る夢。
あの声は、いったい誰なんだろう。
一度だけ、何か大事なものを忘れている気がして、
すごく気になって、色んなことを調べて、
先輩からの話を聞いて、
柄にもなく徹夜で勉強していたら、倒れてしまった。
メンバーにも迷惑かけてしまって、
だから、あれ以降は、むちゃして調べないようにしてるんだけど、
でも、何を知りたいのか、自分でもわかんなくて。
知りたい情報も、どこにもなかった。
でも、ちょっと面白い話を聞いた。
事務所内で恋愛した場合、仕事に集中させるために
すれ違いまくって、結ばれないようにされる、タイムリープの話。
なんか、面白いね。
でもさ、分かんないけど、超売れた後なら、告白しても大丈夫なんじゃないの？
仕事に集中させるってことは、売れるかどうかが理由なんじゃない？
分かんないけど。
そんな、たぶん俺とは関係ないことを考えながら、
今日の仕事の資料を読みこむ。
レギュラー番組の収録で、
地方の子供たちと触れ合う企画。
アポなしで、協力してくれる子供をさがして、
アポなしで、企画を決める。
今日は、メンバー全員が、別の県に散らばって収録してるから、
1人で寂しいけど、楽しみだな。
誰か、話きいてくれそうな、お子さん、いないかな。
小学校でも行ってみるか。
あ、あの男の子。逆上がり？自主練してるみたい。
「あの子に教えて、逆上がりできるように練習する企画はどうですか？」
スタッフ「いいですね、ちょっと、佐久間さんから声かけてみてください。」
「了解です。行ってみますね。」
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作者名：Aries | 作成日時：2020年5月23日 23時
