めめさく短編2 (ページ14)

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タイムリープ5 ページ14

黒「はい？」

滝「この世界線にはね。別の世界線に行って、もうここには戻らないことを、
　あいつは自分で選んだんだよ。」

黒「.......」

滝「宇宙には、たくさんの線があって、俺らが生きてる線は、
　そのうちの１つにしかすぎない。
　別の線に移動して、きっと今も、生きてるって信じてる。
　どんな世界に行ったかは分からないけど。

　過去にタイムリープしてた先輩たちの中にも、
　片方が事務所を辞めるケースもあった。それでタイムリープが終わったらしい。
　でもね、お前らの場合は、同じグループだし、2人ともデビューしてるから、
　あいつは、そこも、色々考えて今の方法をとったんだよ。

　急に1人いなくなったら、メンバーにもファンにも迷惑をかけるから、
　特別処置を、とったの。」

黒「なんですかそれ。」

滝「生きてる間に出会った人全てから、自分の記憶を消す、特別処置だよ。
　過去に、誰も使ったことがなかった、方法。」

黒「何だよ、それ.....」

滝「メンバーも、ファンも、家族も、佐久間がいた記憶は、もうないの。
　みんな、今日、普通だったでしょ？

　最初から自分を知らなければ、急にいなくなってみんなに辛い思いをさせないからって。
　あいつの意思は、すごく固かったよ。

　だから、この時代を生きているお前も、もう佐久間のことを覚えて、ない。」

黒「......」

滝「俺が知ってるのは、ここまで。
　あいつの決心が固くて、止められなくて、ごめん。

　お前がこれからも活躍できるようにって、
　最後まで、それを願ってたよ、あいつは。」

その後、事務所の地下にある書庫にこもって、
何か情報がないか、調べまくった。今は、2021年。1年後だった。

たった、1年後。

すぐそこに迫った未来。

彼は、いなくなる。