甘えんぼ ページ21
夢を見ていた。
佐久間くんがいなくなる夢。
呼んでも、呼んでも、振り向いてはくれない。
そのまま、どんどん遠くなって、
光の中に消えていく。
お願いだから、俺を置いてかないで。
............へ？
寝ぼけた俺は、
ようやく、目の前の
大きな瞳をとらえた。
好きな人だ。俺の。
しゃがみ込んで、俺の頬を包んでくれる。
優しい手だなぁ、って、
嬉しくて、
その人の手をとると、
小さくて真っ白な手の甲に、水滴が落ちた。
俺の横髪を撫でて、微笑む、綺麗な人。
しばらく経ったとき、
自分が泣いているんだと気づいた。
「ご、めん、何してんだろ俺。
なんか、迷惑かけてごめん。」
「めめ？大丈夫？」
「......俺.....抱きしめられてんの？」
「なんか、こうして欲しそうに見えて。」
「............ごめん、」
「あやまんないで？」
「.....好き、佐久間くん、大好きだから。」
「うんうん、分かったよ？」
「佐久間くん.......」
「怖い夢みたんだね、よしよし」
「好き.....」
「..........」
「キスしていい？」
「なんでよ。」
「ふふっ。」
「えらい早く復活したな。」
「今日、俺のそばから離れないで。」
「いやいや、収録だから。」
「立ち位置決まってる時以外、」
「ふっ。」
「..........」
「甘えんぼさん。」
「.......俺、誰にもあげない。」
「何を？」
「すー.........」
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佐久間side
何をあげたくないのかは分かんないけど、
さっき少し笑ったし、
もう大丈夫そうかな。
ソファーに寝かせて、
涙の跡がある、無防備な顔を見つめる。
仕事だから、
時間までにはちゃんと、
起きてくるはず。
めめ、辛くなったら、ちゃんと頼ってね？
俺、先輩なんだから。
普段は嫌がるけど、
今日は大丈夫かな......
遠くに聞こえるメンバーのはしゃぎ声を
聞きながら、
そっと、彼の頭を撫でた。
end
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作者名：Aries | 作成日時：2020年4月17日 0時
