シガーキスはあなたと (ページ7)

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退勤。

ものっっっすごい疲れた......

あれから突然の来客に対応したり、そのせいで事務作業が増えたりと、午後はとても忙しかった。
さすがに家まで我慢できず、会社の最寄り駅の喫煙所に入る。

一口吸えばスーっと入ってくるメンソールの香り。

体には害でしかないと分かっていても、余程の理由がない限りこの快感を諦めることはできないだろう。

少しずつ、少しずつ、仕事モードからオフに切り替わるのを感じながら、煙を肺に入れていく。

吸い始めたきっかけは前の恋人の影響だった。

今思えば本当に好きだったのかわからないけれど、それまで誰とも付き合ったことがなくて恋に恋してたあの頃の私にとっては毎日が新鮮で蕩けそうなほど幸せだった。

でも、うまく行かなかった。

今の会社に早めの内定をもらえた私と違って、いわゆる就活失敗組だった彼は、就活を諦めた瞬間から私にたかるようになった。
最初は頼られるのが嬉しかった私もだんだん不信感が積もり、入社してからはお給料で彼を支援するのが嫌になった。
同時期に彼も惨めさに限界が来たらしく「お前といると辛い」と言って離れていった。

とても悲しくて数日は仕事もまともに手につかず、心配したミョンホに散々慰められた。

でも私はその時はっきり自覚していた。

悲しいのは尽くしても報われなかった自分への哀れみであり、彼への愛情はとっくにどこかに置き去りにしてきたことを。

唯一私に残ったのは、付き合っていた頃に教えられた煙草の味だけ。